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年金世代・予備軍「シニアの居場所」 シニア・インターン制度とは 一緒に働いて分かる積み重ねてきた経験や知識 採用担当「面接だけでは分からない能力が見えてくる」

zakzak by夕刊フジ 2024年11月7日 11時0分

シニア世代が転職を考えるとき、新しい環境で若い世代の人たちとうまくやっていけるだろうかと心配になると思います。そこで当連載では今年3月、横浜市のIT企業、システムアイがシニア・インターン制度を開始したことを紹介しました。

これは就業を希望するシニア世代にインターンとして一定期間有償で働いてもらう制度です。会社の雰囲気や仕事のやりやすさを知ってもらうと同時に、会社側も自社のカルチャーに合う人かどうか確認することができます。

実際に今年10月、このシニア・インターン制度をへてシステムアイに入社したのが岡田浩一さん(62)です。岡田さんに話を聞きました。

岡田さんはこれまで40年間、システム開発の仕事や管理職としての組織運営を経験してきました。50代で転職も経験し、定年後2年間の延長雇用を終えたところでシステムアイ社のシニア・インターン制度を知り、興味を持ったとのことです。

「今後は人に教えることに関わっていきたいと考えていたところでした。とくにITについて、若い人に教えることで社会に貢献できるのではないかと思っていました。そこで、プロジェクトマネジャーを育成する人材募集に応募したのです」

若い世代の多い職場でしたが、シニア・インターン制度を利用したことで環境にもなじみやすかった、と岡田さんは話します。また、同社にはウイスキーの会などいろいろな同好会があるそうです。

「私もお酒が好きなので、率先して参加しています。いろいろな世代とコミュニケーションを取ることができますね」

システムアイの葛川敬祐代表取締役は、シニア・インターン制度導入によって分かったことがあると言います。

「最初に岡田さんに会ったときと、2カ月後に会ったときで岡田さんの印象は少し変わりました。日を重ねていくにつれ、岡田さんの能力が分かってきたのです。これは面談だけでは見つけられなかったと思います」

葛川さんは、岡田さんの知見やアウトプットの質が高いことを理解し、正式採用を決めました。

「IT業界は他の業界に比べて体力はあまり関係ありません。シニア世代でも能力が高い人は活躍できる場所が十分にあると思います」

同社はシニア世代活用をさらに進めるべく、定年を65歳から70歳に上げました。採用職種も広げて、シニア・インターン制度を継続していくとのことです(https://senior.systemi.co.jp/)。

シニア世代には積み重ねてきた経験や知識がありますが、一度や二度の面接では理解されにくいかもしれません。一緒に働いてみて初めて分かることも多いのではないでしょうか。シニア・インターン制度がもっと広がることを期待します。

藤木俊明 副業評論家。自分のペースで働き、適正な報酬と社会とのつながりを得ることで心身の健康を目指す「複業」を推奨。著書に『複業のはじめ方』(同文舘出版)など。

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