毎年恒例の「プロ野球12球団合同トライアウト」が14日、ZOZOマリンで開催された。しかし参加者は昨年よりも14人少ない45人で、過去3年で最少。スタンドには独立リーグ、クラブチームも含めたスカウト156人が見守ったが、編成担当者の姿が見えない関西方面の球団もあった。
近年は戦力外から獲得する選手と内々に話がまとまっている例が大半。あるセ・リーグ球団編成担当者は「他球団との情報交換の場として来ているだけで、この場で参加選手が結果を出しても獲得しようとはならない」と手厳しかった。
昨年は千葉県鎌ケ谷市で開催され、大手生命保険会社、プロレス団体や、警察官、消防士の募集ビラを持った採用担当者が熱心に参加者を勧誘していたが、収穫が少なかったのか今年はその姿もなかった。一方で帰路につく参加者に声をかけていたのは、テレビの戦力外番組のスタッフ。出演依頼の要項が書かれた紙を配布していたものの、受け取った参加者の1人は読むことなく丸めてポケットに入れ「僕は出演してもメリットはないので」とうつむいた。
独立リーグの関係者も「プレーする機会を与えるよりも就職相談会を開いた方がよほど有意義な時間になる」とセカンドキャリア支援の充実を要望。球団スポンサーやその関連企業からは、厳しい練習に耐えしのぐメンタルの強さを持つ元プロ野球選手の引き合いは以前よりも多いといい、「選手として縁がなくても活躍の場所を提供できる」と語る。
日本野球機構(NPB)主催の合同トライアウトは今年が最後になる見込み。日本プロ野球選手会の森事務局長は「(打ち切りの方針を)止める選択肢はないのかな」と来年以降の開催を訴えたが、形骸化が進んでいるのも事実だった。 (山戸英州)