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2024年秋・衆院選 大阪・東京、49全選挙区「当落予測リスト」 大阪小選挙区で〝全面激突〟維新が公明に完勝か 東京24区、萩生田氏が苦戦予想覆す地力

zakzak by夕刊フジ 2024年10月17日 15時23分

衆院選(27日投開票)について、報道各社が公表した序盤情勢では、自民党が単独で定数465議席の過半数(233)割れし、公明党を含む与党では過半数を確保する見通しだ。立憲民主党は議席増へ勢いを見せる。今回から選挙区が5つ増えて30となった首都・東京と大阪の19選挙区は無党派層も多く、「世論の風向きを測る指標」とされる。「政治とカネ」の問題に世論の関心が集まる一方、「野党共闘の破綻」や「公明党と日本維新の会のガチンコ勝負」など動向を左右する要因もあるが、個別情勢はどうなっているのか。政治評論家の有馬晴海氏が東京と大阪の全49選挙区の最新情勢を分析した。

大阪の小選挙区では、「ホーム」である日本維新の会と、関西圏で〝常勝〟とうたわれた公明党の激突が注目される。維新は「大阪都構想」の実現へ公明の協力を得るため、これまで大阪3、5、6、16区で擁立を控えてきたが、今回は全面対決だ。

有馬氏の分析では「維新のワンサイド」の勢いだという。伸び悩みも懸念される維新だが、大阪では17区の馬場伸幸代表(59)、12区の藤田文武幹事長(43)が優勢で、19選挙区で「完勝」もあり得るという。

有馬氏は「馬場、藤田両氏は黙っていても勝つという情勢だ。大阪万博の問題や不祥事があり、地方選も落とすなど、支配力が薄れた感のあった維新だが、やはり〝地元〟の強みがある。全国区での浸透に苦戦し、支持者に『応援疲れ』もうかがえるだけに正念場だ」と指摘する。

公明党は大阪16区に山本香苗氏(53)を参院からくら替えで投入するなど大阪に注力するが、総じて苦戦が予想されるという。

有馬氏は「支持母体の創価学会の組織力に陰りが指摘される。カリスマ性があり、強い指導力で知られた山口那津男氏が代表から退き、石井啓一新体制の真価が問われる。大阪の選挙区を落とすと、現有の32議席から相当減らす。兵庫の選挙区も落とせば、相当な打撃だ。大阪選挙区では、自民も苦しい戦いを強いられてきたが今回も厳しい情勢に変わりはなく、自公与党には厳しい結果が予測される」との見方を示した。

一方、東京の30選挙区について有馬氏は「野党共闘の不調」が趨勢を左右しそうだと分析する。〝象徴的〟なのが、9人が乱立した1区だという。

自民党前職の山田美樹氏(50)は比例の重複立候補が認められず背水の陣だ。立憲民主党は前回、選挙区で山田氏に敗れ比例復活した重鎮の海江田万里氏(75)が雪辱を期し、日本維新の会も音喜多駿政調会長(41)が参院からくら替え出馬した。過去2回「野党共闘」を念頭に擁立を控えていた共産党も新人の中野顕氏(60)を立てた。有馬氏は「野党共闘が実らず窮地の自民党候補が逃げ切りそうな情勢も出てきた」との見方を示す。

裏金事件の影響が出ているのが東京7区だ。参院からくら替えした自民党の丸川珠代氏(53)は「やや劣勢」だ。有馬氏は「参院は著名候補に有利だが、小選挙区は局地戦だ。裏金問題が炎上する厳しい局面でくら替えしたのは丸川氏にとってタイミングが悪かった」と指摘する。

東京26区では、政界屈指の保守派で知られる松原仁元拉致問題担当相(68)が、選挙区調整の難航から立憲民主党を離党し無所属で出馬したが、有馬氏は「やや優勢」とみる。前立民参院議員の蓮舫氏(56)の出馬観測もあったが実現しなかった。有馬氏は「蓮舫氏は票の掘り起こしも狙って東京都知事選に出馬したが惨敗した。松原氏公認で良かったとなりかねない」と語る。

■東京24区 萩生田氏、苦戦予想覆す地力

東京24区は、裏金問題を受けて非公認で挑む自民党元政調会長の萩生田光一氏(61)を、立憲民主党で旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の問題を追及する有田芳生氏(72)が追う。萩生田氏苦戦の予想もあるが、有馬氏は「立民が『政治とカネ』の問題を全力で詰めるなら、野田佳彦代表をぶつけるぐらいの気迫が必要だった。6期の経験と閣僚などの実績もある萩生田氏に地力がある」とみる。

東京29区は、公明党が東京で唯一、小選挙区に擁立した前職の岡本三成氏(59)を、維新新人の海老沢由紀氏(50)と、立民元職の木村剛司氏(53)が追う。東京の選挙区調整で自公に亀裂が入り、深刻な対立もあった。選挙結果は自公連立の命運を占うことになる。

与党を過半数割れに追い込みたい野党だが、東京、大阪の各選挙区を含めて野党の連携が十分に進まなかった。

有馬氏は「共産党は選挙区によっては数万人規模の『基礎票』があるとされる。立憲民主党内の一部は、票の上積みが期待できる共闘に前のめりだったが、共産との連立政権に否定的な野田佳彦体制で頓挫した。共産党は小選挙区で236人を擁立し140超の選挙区で立憲民主党と競合する。立憲民主も237人を擁立し、『全員が当選すれば過半数』という理屈だが準備不足は否めない。立民は『是々非々』のスタンスの維新との協調に意欲的だったが、共産は『自公が過半数を割れば維新は連立に乗る』と警戒していた」と野党間の思惑の違いを指摘した。

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