ソフトバンクの最年長打撃投手、浜涯泰司さん(54)が歴代の強打者を語る連載第2回は、オフに自主トレもともに行っている柳田悠岐外野手(36)。「裏表なく誰からも好かれる」という「ギータ」の素顔に迫る。 (山戸英州)
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――柳田のすごさは
「集中力、切り替えはズバ抜けているね。普段はお立ち台でのやり取りそのまんまだけど、バッティングに入った瞬間、目つき、顔つき、雰囲気すべてが変わる。試合前練習だとケージに入ってるのは4、5分だけど全然違う。で、終了したらまた元に戻る。たまに『構えどうですか?』と聞かれるけど、ちょっと変わっただけでは気づかないし、投げているときにジッと見ていない(笑)。内角のベルト付近よりもやや高めが気持ちよく振れているから、俺はそこに投げ込む」
食事に行くと競馬の話が多い
――普段の人柄は
「ギータは誰に対しても裏表なく態度が変わることがないから好かれるよ。裏方、スタッフも大切にしてくれている。オフのゴルフコンペに高額商品を出してくれたり、ありがたいよ。たまに食事に行くけど競馬の話が多い。馬主になるなんて(今年6月に馬主デビュー)すごい話よ! 『ダービースタリオン』(競走馬育成ゲーム)をやっているし」
――柳田の自主トレに長年参加している
「7年はたつかな。それまで一度も選手の自主トレに行ったことがないと伝えると、『じゃあ来てくださいよ!』と向こうから声をかけられて。俺自身、春季キャンプへの準備運動になるからすごく助かる。シーズン中と求められるものは何も変わらない。自主トレ初日から驚くほどフルスイングで打つから、『まだこの時期にそこまでしなくてよくない?』って思っちゃうよ」
――和田毅投手の引退で柳田がチーム最年長に
「前は体を大きくしようとしていたけど、今年は自主トレから体を絞り好調だった。ただ、5月末に右足太もも裏を肉離れでリタイア。リハビリを経て再昇格するともっと絞っていた。聞いたら食生活も変えて禁酒していた。小久保監督からも『まだ老け込むのは早い』とゲキを飛ばされて守備練習、ランニングに時間を割いていたね」
――7年の長期契約も残り2年。自ら引き際を決められる選手だが
「ギータは『今の契約が終わったら辞める』と伝えてきたけど、俺は『もっと現役続けろよ!』と言っている。結局、体がボロボロになるまでやるのか、余力を残してスパッとユニホームを脱ぐのか。どっちがいいかは分からない。2年後、どうなるかね…」 (あすは城島健司編)
■濱涯泰司(はまぎわ・やすじ) 1970年10月3日、鹿児島県出身。鹿児島商工(現樟南高)、九州国際大から1992年ドラフト3位でダイエー(現ソフトバンク)入り。99年限りで現役引退、翌年より打撃投手に転身。井口資仁(前ロッテ監督)、城島健司(現ソフトバンク球団CBO兼会長付特別アドバイザー)を皮切りに今季は柳田悠岐、近藤健介、中村晃らを担当。プロ通算58試合登板、1勝1敗1セーブ。防御率5.00。10月9日に初の著書「職業・打撃投手」(ワニブックスPLUS新書)を出版した。