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NHK「放送テロ男」の逮捕は可能か 若狭勝弁護士が解説 偽計業務妨害罪の可能性も すでに中国帰国、待遇に不満と報道

zakzak by夕刊フジ 2024年8月29日 11時45分

NHKのラジオ国際放送などで放送された中国語ニュースをめぐる「放送テロ」で、焦点になるのが責任の取り方だ。尖閣諸島は「中国の領土」などと原稿にない発言をして契約を解除された元外部スタッフで中国籍の40代男性はすでに帰国したとされる。NHKは刑事・民事での法的措置を検討するというが、罪に問うことはできるのか。

男性は生放送で尖閣に関する発言のほか、「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな。彼女(慰安婦)らは戦時の性奴隷だった。731部隊を忘れるな」など原稿にない主張を約20秒間続けた。

元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は「NHKや日本の政治スタンスに沿って報道するふりをして反対の発言をし、NHKの信用を失墜し業務を妨害した。普段から同様の政治的主張を展開してきたならまだしも、品行方正だった場合、偽計業務妨害罪で3年以下の懲役または50万円以下の罰金にあたる可能性もある」と指摘する。

「待遇に不満」報道も

NHKは21日付で男性との契約を解除し、損害賠償請求と刑事告訴を検討するとしているが、26日に中国のSNS「微博(ウェイボ)」で男性のものとされるアカウントが「祖国にいる」とコメント欄に投稿している。

NHKのニュース現場で同僚だった関係者によると、男性はNHKでの待遇が変わらないことにたびたび不満を漏らし、日中間の懸案について日本の立場のニュースを読むことに恐怖を感じている様子もあったという。29日付産経新聞が報じた。

男性については「問題発言も中国への帰国も突発的だった可能性もあり、いずれ日本に戻ってくるのではないか」(別の関係者)との見方もある。若狭氏は「国外にいる場合、当然逮捕は難しいが、日本にいても逮捕するかどうかは、高度な政治的判断が必要となる。在宅での捜査となるかもしれない」と話す。

また、男性の告訴に踏み切れば、NHK側の責任問題も浮上すると若狭氏は語る。

「今回の問題はNHKの管理態勢やガバナンス(組織統治)の欠如も大きく、自らの失態の責任をスタッフの側だけに振り向けることは筋違いにも感じる。民事の損害賠償請求訴訟でも、NHK側の落ち度がポイントになる。裁判を通してNHK側の問題も浮き彫りになるのではないか」

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