今回はCS放送フジテレビNEXTで月1回放送されている音楽番組「しおこうじ玉井詩織×坂崎幸之助のお台場フォーク村NEXT」に魅せられているというお話。
この番組は2019年7月からスタートし…などと、その歴史を書き始めると文字数が足りないのでそこは省略して、生放送の現場を見学させていただいたリポートを。
昨年11月。日本フォーク界のレジェンド、小室等さんが、彼のグループ「六文銭」と共に同番組に出ることになり、もう一人のゲストが、僕が構成作家としてFMラジオ番組をご一緒している森高千里さんということもあって、収録現場に立ち会ったのだ。
その日は、他に私立恵比寿中学や斉藤由貴さんも出演で、実に華やかで活気のある現場。フロアディレクターのカウントダウンから120分間、10代から80歳(小室さん)までがひとつになり、それぞれのオリジナル曲はもちろんのこと、懐かしの昭和歌謡(ザ・ピーナッツ『恋のバカンス』、南沙織『17歳』など)やフォーク(『悲しくてやりきれない』『面影橋から』など)が満載の夢のような時間だった。
それはテレビの生放送だったけど、僕にはリアルな音楽祭の現場で、音楽愛がスタジオに充満していた。
この村の村長はTHE ALFEEの坂崎幸之助さんで、その補佐をももいろクローバーZの玉井詩織さんが務めているが、構成・演出のきくち伸さんのことを忘れるわけにはいかない。フジテレビで「LOVE LOVE あいしてる」「HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP」など多くの人気番組をプロデュースしてきた〝音楽愛〟の塊の人。
事前のキャスティングから進行台本作り、当日のリハーサルや本番に立ち会って隅々に気を配り、生ライブ番組を成立させてしまう姿をスタジオの隅から垣間見て、本当に何年振りかで「テレビっていいな」と思ったのだった。
その時、きくちPから「前回のフォーク村の同録DVD―Rです。中川五郎さん、すごいですよ」といただいた映像を見てびっくりした。釘付けになった。感動した。
中川五郎さんが到底、オンエアできないはずの歌詞をはっきりと歌っていたのだ。ええっ? 生放送でこれを!
普通なら「これは無理だ」となるはずの歌を届ける人がいる。
そして「次回は松本隆さんが来て、堂本光一が歌います。来ませんか?」とお声がけいただいた。もちろん駆けつけましたよ。その2時間の生放送も宝物として残る内容だった。
見る値打ちのある番組「お台場フォーク村NEXT」。テレビはこんなところでまだしっかりと生きてます!
■東野ひろあき(ひがしの・ひろあき) 1959年大阪生まれ、東京在住。テレビ・ラジオの企画・構成(FM大阪「森高千里ララサンシャインレディオ」)、舞台脚本(「12人のおかしな大阪人」)やコンサート演出(松平健とコロッケ「エンタメ魂」)、ライブ企画・構成(「小室等de音楽祭」)、コメディ研究(著書『モンティ・パイソン関西風味』など)。猫とボブ・ディランをこよなく愛するノマド。