いつまでも元気に過ごすには、病気予防や健康寿命の延伸は重要で、ウオーキングはその一助となる。21世紀における国民健康づくり運動「健康日本21(第3次)」の1日の歩数目標値は8000歩(20~64歳)。健康経営の実現のためにも、いろいろなアプリやウェブサイトが登場している。それらをうまく活用し、世界各国のグループ企業とも連携して成果を上げているのがテルモだ。
■梨やメロンに家族も大喜び
同社は2014年に健康経営を宣言して以来、健康保険組合との連携(コラボヘルス)によって従業員の健康増進のためのさまざまな取り組みを行っている。
「当社は『医療を通じて社会に貢献する』という企業理念があります。われわれ自身も、健康でいきいきと働くことを大切にしています」と、同社人事部人事企画チームの田中隆之氏は話す。
病気予防では、スポーツクラブの法人契約やダイエットキャンペーン、ウオーキングキャンペーンを実施し、年2回のウオーキングイベントでウェブサイトを活用しているという。日々の歩数や健康診断受診実績などを入力すると、サイト上のバーチャルな果物が徐々に育っていく。そして、60日後に目標を達成すると、果物の実物が自宅に届く仕組みだ。
参加した従業員は「サイトに歩数などを入力するたびに果物が育って楽しい。最終的な目標を達成した後、家に旬の大きな桃が2個届いて、家族も驚いていました。梨やメロンなども届いたこともあります。すごくテンションが上がります」と話し笑顔を見せていた。
■グローバルな交流が刺激に
同社は国内だけでなく海外拠点のグループ企業でも、健康経営を進めている。
「2020年にグローバルの共通スローガンを掲げ、各国のグループ企業のリーダー40人が、山登りのアプリに参加し盛り上がりました。現在も、定期的に各国の人事の総責任者による会合を開き、課題の解決に向けて話し合っています」と説明するのは、同社人事部人事企画チームの松原亜里紗氏。
テルモインド社では、オンラインでのヨガ・フィットネスを実施。コスタリカではオフィス内ジム。ベルギーではウオーキングによるチャリティーイベントを開催するなど、お国柄を反映したさまざまな取り組みを行っている。
「アソシエイト(従業員)が『健康でいきいきと働く』ことは、当社の海外グループ企業にも浸透しています。スポーツイベントなどに積極的で、グローバル健康経営の取り組みマップを社内で公開しています。日本で働くアソシエイトの刺激にもなっています」と松原氏。
世界にも広がる健康経営の輪。グループ企業からその家族へ。今後さらに進展しそうだ。 (取材・安達純子)
■テルモ株式会社 医療機器・医薬品の製造販売。グループ会社98社。グループ従業員数3万591人(2024年3月末現在)。1921年9月設立。経済産業省等の「健康経営銘柄」に合計8回認定。
【健康経営とは】従業員の健康管理を経営的な視点で考え戦略的に実践すること。従業員の健康が生産性や企業価値の向上につながり、就活や転職先企業の指標にも。