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ニッポン放送・飯田浩司のそこまで言うか! 「やっぱり分かってない」石破首相の所信表明演説、国民が真に求める「経済政策」でズレ 消極的?「103万円の壁」撤廃

zakzak by夕刊フジ 2024年12月4日 6時30分

「It’s the economy, stupid!(大事なのは経済だ、愚か者!)」

先週金曜(11月29日)、石破茂首相の所信表明演説を聞きながら、30年以上前の米大統領選で流行した政治的標語を思い出していました。

2期目を目指すジョージ・ブッシュ米大統領(父)に対し、若き民主党大統領候補、ビル・クリントン・アーカンソー州知事は、この言葉を繰り出しました。湾岸戦争で支持が高かったブッシュ氏に対し、低迷する米経済を議論の中心に据えて大逆転した、選挙のキーワードとして広く記憶されています。

石破首相は所信表明演説で、「先の選挙(衆院選=10月27日投開票)結果は、主権者である国民の皆さまからの、政治資金問題や改革姿勢に対する叱責であったと受け止めております」と総括していました。

果たして、そうだったのでしょうか?

そうであれば、「政治とカネ」の問題を選挙の中心に訴えた立憲民主党がもっと票を伸ばしてもおかしくなかったはずです。しかし、立憲民主党の比例代表での得票は、前回の2021年衆院選とほとんど変わりませんでした。

比例票を劇的に伸ばしたのは、「政治とカネ」ではなく「国民の手取りを増やす」と訴えた国民民主党でした。

直近の名古屋市長選挙(11月24日投開票)でも、「減税」を旗印に掲げた広沢一郎氏が、与野党相乗りの大塚耕平氏らに圧勝しました。

国民が真に求めているのは「経済政策」ではないでしょうか。敗因分析のピントがズレれば、次に打ち出す政策もズレてしまいます。

石破首相の所信表明では、3つの重要政策課題として、①首脳外交を経た今後の外交・安全保障政策②日本全体の活力を取り戻す③治安・防災―を挙げました。強いて言えば、②に少し経済政策らしいものが入っていましたが、中心は地方創生でした。

注目の「年収103万円の壁」撤廃が所信表明演説に盛り込まれると報じられていたので聞いていましたが、出てきたのは演説の終わり間際でした。演説冒頭で「他党にも丁寧に意見を聞き」と打ち出した割に、具体的政策の協力には消極的ではないかと疑わざるを得ません。

国民・榛葉幹事長「中途半端なら自公の参院選は大変」

臨時国会開会に先立つ先週火曜(同26日)、国民民主党の榛葉賀津也幹事長が、私の担当するニッポン放送の番組「OK! Cozy up!」(平日朝6時~)に出演してくれました。

「103万円の壁」をめぐる与野党協議の行方について、「最終的に178万円に近いところに落ちるだろうと推測している。もし、中途半端で終わったら、国民民主党にがっかりするのではなく、多くのみなさんが『自民党、公明党やっぱり分かっていないね』となる。参院選は大変なことになると思う」と語っていました。

石破首相の所信表明演説を聞く限り、「やっぱり分かってない」ように思えますが、ここから修正するのか?

「It’s the economy, stupid!」

噛み締めていただきたい言葉です。

■飯田浩司(いいだ・こうじ) 1981年、神奈川県生まれ。2004年、横浜国立大学卒業後、ニッポン放送にアナウンサーとして入社。ニュース番組のパーソナリティーとして、政治・経済から国際問題まで取材する。現在、「飯田浩司のOK!Cozy up!」(月~金曜朝6―8時)を担当。趣味は野球観戦(阪神ファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書など。

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