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久住昌之 するりベント酒 講演前に自分で選んだ「おろしハンバーグ弁当」に大満足! 主役を楽しく盛り上げるサイドおかずに助演女優賞あげたい

zakzak by夕刊フジ 2024年9月8日 10時0分

愛知県の刈谷市というところで講演の仕事をした。

同じ仕事を40年以上やっていて、60歳も過ぎると話を聞かせてくれと言われるようだ。

「マンガみたいなことをそんなに長くやってて、ときどきテレビなんかにも出てくる人は、何考えて生きてるんだ?」

という興味だろうか。

まあ、ボクも創業40年以上の飲食店と聞くと、それだけで入ってみたい。そういうことだろうか?と最近思うようになったオジイサンです。

一泊二日、初めて行く刈谷市を電動アシスト自転車をレンタルして走り回り、歩き回り、いろんなところを見て腹が減れば気になる店に入って食い、夜ともなれば居心地よさそうな居酒屋を探し飲んだ。

足も疲れるし、観察鑑賞チャレンジしまくって神経も擦り減るが、実に面白い。つまりは「孤独のグルメ」の店選び、ドラマ作りの話になるのだ。

その体験をホテルで夜なべしてまとめ、3日目に、刈谷市の市民ホールで、たくさんの写真と共に一人で話す。

おかげさまで大ウケだったのですが、その話はまたの機会に。

講演の前にホールの楽屋に出た弁当がとてもよかったのだ。

仕出し弁当で、メニューから、自分で選んだ。

「おろしハンバーグ弁当」

ボクはハンバーグに大根おろしをつけて食べたことは、ないことはないが、何十年前だ。何十年間、食べなかった。だからあえて頼んでみた。忘れていて面白いから。どんなだっけ?

写真がそれです。どうです。うまそうでしょう?見た瞬間これ頼んで正解、と思った。マカロニサラダ、きんぴらごぼう、卵焼き、桜漬け。この弁当景色が整っている。

ハンバーグの上に、確かに大根おろしがのっている。しかしさらにその上に刻みネギと刻み海苔がのっている。

海苔とネギは予想しなかった。

さっそく割り箸でハンバーグを切り取り、おろしネギ海苔ごと食べた。

お、まだあたたかい。そして、うまい!

すぐに白いめしで追っかける。あ、こちらもまだ温もりが残っている。

いやー、もうこの時点で勝利宣言。おいしい弁当だわぁ。味噌汁はインスタントのカップだけど、これは熱いというだけでありがたい。

マカロニサラダなどサイドおかずも、いちいち手作りっぽい丁寧に作られたもので、主役を楽しく盛り上げる脇役たち。マカロニサラダに助演女優賞、あげたい。なぜ女性。でもそんなやさしい味。きんぴら、おいし過ぎて、この少量すぎることにちょっと文句言いたくなるほど。

あと白いごはんがおいしいのは、通奏低音の愉悦。ニコニコバクバク食っちゃう。

これは立派な「日本の洋食弁当」だ。ハンバーグが和食としてうまい。おろしネギ海苔の活躍、目を見張るものがある。もちろんハンバーグそのものの実力あっての話だ。閉じ込められた肉汁と、おろしネギ海苔とのハーモニーが、口の中で高らかに鳴り響く。

静かな楽屋で、一人静かに感激のお昼タイムを過ごしている俺。講演前で、もちろん酒はない。ペットボトルの冷たい緑茶で口を潤す。それもまたよし。

講演前に、ゆっくりしっかり満足した。

満腹になって、待ち時間に少し眠くなった。でも満席270人の前に出たら眠気吹っ飛んだ。刈谷市、いい街です。

(マンガ家、ミュージシャン・久住昌之)

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