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日本の解き方 予算委員長を野党に渡す代償 石破政権、延命策は減税中心の補正予算 経済停滞の犯人は財務省だとあぶり出されることも

zakzak by夕刊フジ 2024年11月13日 6時30分

与党が過半数割れするなか、17ある衆院の常任委員長のうち、予算委員長を立憲民主党に割り振るなど、野党側に7つが配分されることになった。予算案の審議などにどう影響するだろうか。

予算委員会の所管事項は「予算」と定められている。内閣が提出する予算案の審議を行うことが基本的な役割であるが、予算は内閣のすべての政策の財政的な裏付けになるので、予算を通じて内閣すべてのことに関係している。

そのため、予算委員会での質疑の範囲は直接予算に関連するものに限らず、広く国政全般にわたるのが通例だ。

つまり、予算委員会は他委員会とは異なり別格の花形委員会だ。端的に言えば、予算審議だけでなく不祥事のほか、なんでも議題として、それをテレビ中継できる。

予算委員会は首相ら全閣僚が出席する委員会で、他委員会の委員長ポストとは比較にならないくらい重要だ。与党は10の常任委員長ポストを得たが、これを半分以下の4つにしても、予算委員長を死守した方がよかったのではないか。

予算委員長には委員会の開会日時や採決の決定、審議の進行などの権限がある。つまり、予算委員会の運営は予算委員長の裁量になる。野党議員が予算委員長に就任するのは異例だが、その裏に万が一、石破茂政権延命の自民と立民の大連立という狙いがあるとしたら要注意だ。

予算成立は内閣の命運を握るが、それを野党に渡したということは、内閣不信任案とともに予算成立も野党が主導権を持つので、何かあればいつでも石破政権は総辞職せざるを得ないだろう。これが少数与党の定めであり、石破政権はどうあがこうと既に「死に体」になっている。

予算委員長には、立憲民主党の安住淳元財務相が就く。委員長が誰になっても、野党であれば、来年度予算案が「人質」となり、来年3月の年度内成立のころには内閣総辞職くらいの代償を払うことになるだろう。

ただし、そこまで石破政権はもつまい。11日に召集された特別国会の会期については14日までの4日間となったが、特別国会後、早期に臨時国会の召集もある。そこでは、補正予算などが審議されるはずだが、野党案を丸のみしないと成立しない。補正予算も予算委員会でやるので、下手をすると内閣不信任案が出て、石破政権は万事休すかもしれない。

別のケースとしては、石破政権が〝保身〟に走ることが考えられる。そこでは財務省の意見が通りにくくなり、国民民主党が主張するような減税中心の補正予算という国民にとっていいものになるかもしれない。そうなると、これまでの経済停滞の犯人が財務省であることがあぶり出されることもあり得る。

ちなみに、野党の議員が予算委員長を務めるのは1994年の羽田孜政権時以来、30年ぶりだ。なお、羽田政権は少数与党だったので、94年4月28日から6月30日までの在任64日で退陣した。これは戦後の日本国憲法下では2番目に短い政権だった。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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