27日に投開票された衆院選の結果は、勝敗ラインを下回る「与党過半数割れ」の敗北となった。国民の厳しい判断を謙虚に受け止めなければならない。
公明党は、11小選挙区で挑戦し、4議席しか獲得できず、比例区では20議席を確保したものの、公示前の32議席を割り込む計24議席にとどまった。
なかでも、大阪の4小選挙区は維新に全敗、初挑戦の埼玉14区・石井啓一代表や愛知16区も落とし、議席を保ってきた北海道10区までも惜敗した。9月に私から代表のバトンを渡したばかり。その初陣で石井代表の議席を失ったことは痛恨の極みである。
敗因を分析し次への教訓としなければならない。短期決戦は「レッテル貼り」合戦になりがちである。これまでも「郵政民営化」「政権交代」など訴求力の強い方が勝利する。
今回は「裏金」である。政治資金収支報告の不記載が「裏金」にすり替えられ野党側と多くのメディアの大合唱となった。「政策活動費」と称して好き勝手に使った使途不明の政治資金という点では、立憲民主、国民民主、日本維新の会ともに多額の「裏金」を支出してきたことはさておき、矛先は専ら自民党に向けられた。
公明党は不記載も使途不明の「政策活動費」も一切ないが、小選挙区で与党候補として政権選択を求めれば、同列視されがちになる。だからこそ「同じ穴のムジナと見られたくない」との叫びが出る。
比例区では、自民党とも差別化して「裏金とは無縁の公明党」ときっぱり訴えられるのであるが、痛かったのは、自民党が非公認とした候補者を推薦したことを他党に批判され、比例区の支援に水を差されたことである。
推薦を判断するのは、地元の支持者の受け止めや選挙協力の事情を考慮してのことであるが、全国の比例区に影響が及ばない取り組みが必要だ。結果的には推薦は奏功せず、返り血を浴びることになった。
極めつけは、最終盤で、自民党が非公認候補の政党支部に2000万円を交付したと報じられたことである。いくら党内ルールや合法性を説いたとしても、あのタイミングでやればリカバリーはできない。実際、ネットではこの件の検索が急激に伸び、「裏金」に関心のある有権者には「○○に追い銭」のような印象となったことは否めない。公明党は経緯も分からず、説明責任を負う立場でもないが、ダメージだけ大きく受けてしまった。
選挙結果を受けて28日、自公は党首会談を行い、特別国会で首相指名に臨む「政策合意」を結んだ。公明党から「この選挙結果を厳粛に受け止める」と明記し、政治改革として「政策活動費の将来的な廃止も念頭に」と挿入させた。
少数とはいえ比較第一勢力として、自公が軸となり政治の停滞や混乱を招かないよう、幅広い民意を受け止めた謙虚な政権運営ができるように努めなければならない。 (公明党常任顧問)