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ニュースの核心 石破自民に〝大逆風〟選挙後に大政局「自公過半数割れ」なら退陣確実 次の総裁、最有力は高市氏 手掛ける野党の取り込みとは

zakzak by夕刊フジ 2024年10月26日 15時0分

衆院選はあす27日、投開票を迎える。報道各社の情勢調査では、石破茂首相(自民党総裁)率いる自民党は単独過半数(233議席)は厳しく、公明党との与党でも過半数維持は微妙とされる。石破首相の「変節」や、安倍晋三元首相を「国賊」と罵倒した村上誠一郎総務相らの重用、「政治とカネ」の問題、最終盤で発覚した「非公認」候補側へ2000万円の活動費支給などが響いている。もし、「自公与党過半数割れ」が現実となれば、来年夏の参院選も見据えて大政局は避けられない。自民党総裁選で党員・党友の強い支持を受け、第1回投票でトップだった高市早苗前経済安保相への期待。ジャーナリストの長谷川幸洋氏が核心に迫った。

今回の衆院選で、自民党と公明党の連立与党が過半数を割り込む可能性が出てきた。そうなれば、野党が連立に加わらなければ、政権は少数与党に転落する。これから、一体何が起きるのか。

朝日新聞は20日、自民党が大幅に議席を減らし、自公で過半数を維持できるかどうか「微妙な情勢」と報じた。JNNも23日、自公で「過半数を割り込む可能性もある」と伝えた。与党の劣勢は日を追うごとに強まっている。27日の投開票日までには、一段と厳しい情勢に直面しているだろう。

石破首相は勝敗ラインを「自公与党で過半数維持」としてきた。それが達成できなければ、退陣は確実だ。自民党の単独過半数割れでも、夏の参院選を意識して、自民党内で「石破おろし」が強まるだろう。旧安倍派議員を中心に石破首相への怨嗟(えんさ)の声は、選挙前から噴出していた。両院議員総会で怒号が飛び交うシーンもありそうだ。

石破首相退陣となれば、次は誰が総裁になるのか。

最有力は高市早苗前経済安保相だ。何と言っても、自民党総裁選で石破氏と決選投票を戦った実績は無視できない。一部には、岸田文雄前首相の再登板や林芳正官房長官などを推す動きもあるようだが、ここで高市氏を外すようなら、それこそ自民党は多くの党員や国民から見放されるに違いない。

高市政権が誕生したとして、「少数与党転落」、あるいは「ギリギリ過半数維持」では、前途は楽観できない。彼女が真っ先に手掛けなければならないのは、野党の取り込みだ。だが、有力相手と想定される国民民主党の玉木雄一郎代表は22日、連立に加わる可能性について、「ありません」と明言した。

国民民主党は躍進が見込まれ、勢いづいているだけに、選挙後に態度を変える可能性は小さい。選挙に勝って豹変(ひょうへん)すれば、「自民党の延命に手を貸すのか」と支持者の批判を浴びるのは必至だからだ。

■少数与党で緊張感にあふれた政治も

もう1つの候補、日本維新の会は議席減が見込まれている。彼らはなおさらだ。選挙に負けたうえ「連立与党入り」となったら、党の根幹が問われてしまう。

「非公認」で戦った元自民党議員たちの動向も注目だ。

彼らの多くは石破首相ではなく、高市氏を支持していた。石破首相が延命を試みた場合、彼らが当選して永田町に戻ってくれば「石破退陣を復党の条件」にするかもしれない。

彼らが「高市総裁の誕生」とともに復党したとしても、国民、維新が連立入りを拒否すれば、新政権は少数与党に陥ってしまう。

石破政権のおかげで敗北し、後始末をするハメになる高市氏には、お気の毒な事態だが、私は「悪い話ばかりでもない」と考える。なぜなら、安保防衛や経済政策をめぐって、高市路線と野党路線の違いが国民の目に、くっきりと表面化するからだ。

安倍晋三元首相なき後の日本政治に欠落していたのは、日本の姿をめぐる根本的な論争だった。「政治とカネ」の話が重要でないとは言わないが、世界が戦争の時代に突入したなか、日本は、いつまでも内向きの醜聞に足をすくわれている場合ではない。

少数与党となれば、与党はもちろん、野党も絶好のチャンスととらえて政局に臨むので、緊張感にあふれた政治になる。それこそが日本に必要なのだ。大激動の政局は大歓迎である。

■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務めた。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア―本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。ユーチューブで「長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル」配信中。

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