Infoseek 楽天

天野秀夫 中小型厳選株 「情報戦略テクノロジー」出直り余地大、大企業のDX内製化支援で急成長中 経済好調の九州に拠点開設へ

zakzak by夕刊フジ 2024年9月5日 11時0分

史上最高値を更新する米国株に引っ張り上げられる形で、日経平均は8月の暴落相場の下げを取り戻しました。ここから目先は、為替の動向が引き続き浮沈のカギを握っていますが、日経平均3万9000円近辺は今年4月中旬から2カ月半に渡りもみあった水準で、戻り売り圧力が高まる可能性もあります。また、10月相場をにらみ需給要因に注意が必要です。

推定時価総額1兆5000億円の半導体大手キオクシアと同7000億円規模の東京メトロのIPO(新規上場)が、10月にも実現する見込みです。超大型IPO案件が重なり、市場からの資金吸収額が大きいだけにマーケットの需給関係にはマイナスに働くことが懸念されます。

一方、マインド的にはプラスの側面もあります。超大型IPOは新規資金を市場に呼び込むことが期待されるほか、出遅れた直近IPO銘柄の見直しのきっかけとなるなど、物色面での刺激材料となります。今年3月にIPOした東証グロース市場の時価総額トップ銘柄であるトライアルホールディングスが最高値を更新し始めたことがその表れの一つです。

公開価格460円に対し初値1021円で、トライアルホールディングスと同じく3月にIPOした東証グロースの「情報戦略テクノロジー」(155A)の見直し余地が広がっています。IPO直後に最高値1321円を付けた後は調整に転じて8月5日には公開価格割れの最安値402円を付けて500円台に出直ってきたばかりの値頃感が魅力です。

情報戦略テクノロジーは、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)内製支援サービスを手掛け、顧客はドコモやリクルート、セブン銀行など大企業が多いことが特徴です。年商1兆円以上の顧客企業が全体の48%弱、同1000億円以上では81%強を占めています。今年4~6月期にはキリンホールディングスと東急も新規顧客となりました。

金融、IT(情報技術)、通信・放送、人材サービス、製造業と顧客基盤となる業種が幅広いことも強みとしている一方、営業のエリア制の展開を始めており、10月には第1号拠点を九州に構える計画を8月に発表しました。北九州市とは連携協定(複業・兼業による企業DX推進、デジタル人材交流、ワーケーションによる関係人口の創出、企業誘致の促進)を締結していることが背景にあるもようです。九州は熊本半導体工場の新設や、九州大学箱崎キャンパスの跡地再開発などから地域経済が盛り上がりをみせており、ビジネスチャンスは確実に高まってきそうです。

今2024年12月期第2四半期(1~6月)業績は、会社側の期初計画を上回るペースで推移し前年同期比8・3%増収、20・7%営業増益で着地。通期の営業利益4億1900万円(前期比8%増)予想に対する第2四半期時点での通期営業利益進捗(しんちょく)率は51・5%と順調に推移しています。まずは6月の戻り高値868円回復を目標視してくるでしょう。

■天野秀夫(あまの・ひでお) 日本大学法学部卒。1987年4月、日本証券新聞社に入社。記者、編集局長などを経て、代表取締役社長を12年近く務める。2017年4月、独立。証券・金融界、上場企業経営者とのパイプを生かし金融リテラシーへの貢献を目指す。

この記事の関連ニュース