40年前、大阪府枚方市にレンタルショップとしてスタートした蔦屋書店が、書店を核に全国で事業を拡大させている。コーヒーを飲みながら店内の本を読めるブック&カフェから始まり、商業施設やレンタルスペース、スポーツジムまで運営。生活圏内でTSUTAYAの店舗をよく見かけるようになった。
京阪本線香里園駅の駅前に11月11日、リニューアルオープンした「ツタヤ ブックストア香里園」はTSUTAYAの戦略が見られる最新店だ。従来のカフェ併設書店に、新たな空間価値と体験価値を複合した全国初の取り組みとなる。
1階はスターバックスを併設したブック&カフェで6万冊の書籍と文具を取り扱う。2階には、シェアオフィスの機能とカフェの心地よさを兼ね備えた「シェアラウンジ」と、ココロとカラダを整えるジム「ツタヤ コンディショニング」を導入。それぞれの空間がシームレスに設計されているのも特徴だ。
シェアラウンジは単なるコワーキングスペースの進化系ではなく、さまざまなニーズに対応。カフェとオフィスと勉強スペースの機能を併せ持つ。一人席からボックス席まで全108席。60分1100円から誰でも利用できる。使い方は自由自在だ。ドリンクやスナック菓子もお代わり自由で高速Wi―Fiを備えているのもうれしい。
「フリーランスや個人で起業する人のワークスペースとして、コロナ禍を機に増えたリモートワークのニーズに応える新しいサービス」と、カルチュア・コンビニエンス・クラブ社長兼CEOの高橋誉則氏は説明する。現在、提携店を含めて全国36カ所で展開。今後は100店舗を目指すという。
「ツタヤ コンディショニング」には、ゲーム感覚で初心者にも無理なく続けられる最新AIマシンと有酸素運動ができるバイク、ストレッチマシンを設置。インストラクターが指導してくれる女性専用のマシンピラティススタジオも併設されている。従来のジムと異なるのは、がんばりすぎなくていい点。体を鍛えるよりも〝整える〟をキーワードに、気軽に運動できる環境を整えている。運動習慣をつけて健康な体づくりをしたい人向けだ。
「日本人の平均寿命と健康寿命の差は約10歳。その10年を健康で生きたいというニーズがあるにもかかわらず、ジムの利用率は低い。その課題の解決策として同施設を位置付けている」と高橋社長。
ここでは有酸素マシンで運動しながら読書したり、動画を見たりすることも可能。シェアラウンジの利用者も、仕事や勉強の合間や後に一部のマシンを利用できる。思考が煮詰まったときにマッサージチェアに入れば、いい気分転換になりそう。逆にジムの待ち時間にシェアラウンジを利用することも。
高橋社長は、「複数のサービスをワンストップでかつ心地よい形で提供できるのがTSUTAYAの強み。いままで足が遠のいていた人にも来てください」と話している。 (フリーライター 橋長初代)