<BSフジ、10日午後10時~>
三谷作品でおなじみの俳優、梶原善が各地の哀愁あるビルを訪ねる番組。今回は、福岡を代表する繁華街・天神エリアにあり、46年間にわたり博多っ子に愛され続けている「サンセルコビル」を紹介する。
博多には縁のない記者はよく知らなかったが、サンセルコといえば、エーゲ海の海岸段丘をイメージしたという長い長い大階段だそうだ。番組でも、1階から4階まで直線でつなぐ階段には、梶原も驚くほかない。
ビルの開業当時から続くという眼鏡店の店先では、昭和の眼鏡店に必ずあった「黒目玉がクルクル回る看板」を発見。これまた、開業時から続くという子供洋服店店主が語る「サンセルコ」というビル名の由来には、さすがの梶原も困惑するばかり…。
美空ひばり主演映画のVHSから、桃井かおりのLPジャケット、謎の熊の木彫り温度計まで、お宝級のレアな昭和グッズが次々と掘り出されるのもレトロビルならではといっていいだろう。
よく考えると、誰にでも懐かしさを感じるビルというものが、心の中にあるのではないだろうか。記者にとっての懐かしいビルを思い起こすと、再開発がずいぶんの進んだ故郷の駅前にまだ残っているスーパーの西友のビルだろうか。
故郷の駅前は記者は小中学生のころからみると、かなり変貌した。それももはやレトロの域に入りつつあるのかもしれないが、そんな中でもまだ残るスーパーのビルは何とも言えない郷愁感が漂っている。
駅前のスーパーというと、上の階に行くほど婦人物の洋服などを扱っているのだが、それでいて客足が妙に少ないという寂しさがある。で、そこかしこに懐かしい昭和グッズが残っている。今でもそんなビルに足を踏み込むと切ない気持ちになってしまう。
サンセルコビルの規模には遠く及ばないが、レトロビルの面白さって、そんなところにあるのだろう。 (F)