今国会の焦点である「政治資金改革」で、自民党が苦境に陥っている。石破茂首相が「憲法論」まで持ち出した企業・団体献金の存続は決着を先送りする一方、立憲民主党など野党7党が提出した「政策活動費廃止法案」への合意を余儀なくされた。少数与党に転落した現実が、自民党を追い込みつつある。
「政活費の廃止は前進だ」
16日、立憲民主党の笠浩史国対委員長に対し、野党7党の政活費廃止法案に合意すると伝えた坂本哲志国対委員長は、苦渋をにじませ語った。
自民党は守勢一方だ。企業・団体献金の禁止で、石破首相は表現の自由を保障する「憲法21条に抵触する」とまで言及して批判を浴び答弁修正に追い込まれた。
一方、機微情報の保護などで政党支出を一部非公開にする「公開方法工夫支出」の新設を打ち出したが、立憲民主党ら野党各党は「政活費の温存」「新たなブラックボックス」と指弾した。世論の反発を恐れる公明党、「年収103万円の壁」見直しを条件に政権に協力する国民民主党にも距離を置かれ、自民党は新設を断念した。
ある保守系議員は「石破首相は総裁選で刑事処分や党処分が終結していた『政治資金収支報告書不記載問題』を再燃させ、『裏金問題』のレッテル張りにこだわる野党の攻勢を招いた。衆院選でも過半数割れし、今は、どれだけ理にかなった提案でも通らない」と指弾する。
石破首相は政治改革を「年内に実現」すると約束した手前、妥協を重ねざるを得ない。政活費廃止を盛り込んだ野党7党提出の改正案を丸のみすることになった。
ある立憲民主党議員は「来年夏には参院選が控える。企業・団体献金の存廃では、わが党内にも反対論があるが、世論から見れば自民党のスタンスの方が『筋悪』だ。『政治とカネ』の問題が長引くほど、野党には有利になる」と明かす。