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日銀「追加利上げ」決定 住宅ローン金利、企業向け融資に打撃 個人消費低迷の長期化も 政界からの声に影響か

zakzak by夕刊フジ 2024年7月31日 13時15分

日銀は31日、2日目の金融政策決定会合を開き、政策金利と位置づける無担保コール翌日物金利の誘導目標を現行の「0~0.1%程度」から「0.25%程度」に引き上げることを賛成多数で決めた。3月にマイナス金利政策解除や長短金利操作の撤廃など17年ぶりの利上げを決めたが、今回の追加利上げによって、金融引き締め姿勢はより鮮明になった。住宅ローン金利の上昇や企業の資金繰りなどに悪影響となりかねない。

また長期国債の買い入れについて、四半期ごとに4000億円程度ずつ減額し、2026年1~3月に3兆円程度する計画を全員一致で決めた。

利上げは金融資産を持つ富裕層にとっては、預金金利が上がることで利息が増えるメリットがあるが、大多数の個人や家計にとってはデメリットが大きい。短期金利の上昇は変動型住宅ローンの金利上昇につながるほか、長期金利も上昇すれば固定金利にも波及することが予想される。

また、金融機関にとって利上げは収益向上の要因となるが、企業の資金繰りが悪化すれば雇用や賃金にマイナスとなる。

日銀は2%の物価上昇目標を掲げているが、生鮮食品を除く消費者物価上昇率は2年以上にわたって前年比2%を超えている。賃上げや定額減税の効果で、利上げをしても個人消費は大きく崩れないと判断したとみられるが、個人消費の低迷が長期化する懸念もある。1人当たりの実質賃金は26カ月連続のマイナスとなっており、政策委員の中には利上げに慎重な意見もあった。

円相場は7月上旬、一時1ドル=161円90銭台に急落。最近は151円台に急騰する場面があった。

為替レートは日銀の政策目標ではないが、円安を背景に利上げを求める声も相次いでいた。岸田文雄首相が「金融政策の正常化」に言及したほか、河野太郎デジタル相や自民党の茂木敏充幹事長らも利上げを求める発言をした。日銀が利上げを決めたことで、政界からの声を気にしたとの印象を残すことになる。

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