2024年に新NISA(少額投資非課税制度)が始まり、メディアでも連日関連情報が流れた。日本の株式市場も比較的好調だったことから、読者のなかにも投資デビューをしたという方は多いのではないか。
私の周りでも、これまで投資に一切興味がなかった人たちが、いきなり投資に関する話題を振ってくることが多く、新NISAが日本の投資文化に与えた影響の大きさを感じたものだ。
一方で講演の最中に新NISAをやっている人に挙手してもらうと、印象ほどは多くないという結果になる。QUICK資産運用研究所の調査をみてみると、新NISAを利用していると回答した人は57・2%だったので、やはりまだ投資デビューをためらっている人も多そうだ。
新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」という2つの枠が用意されているが、これからデビューする方には「つみたて投資枠」を利用して、インデックスファンドを積み立てることをお勧めする。とはいえ、大手のネット証券では「つみたて投資枠」で買うことのできる投資信託が250本近く用意されており、選ぶことに悩んでしまう。
そこで、24年初からの資金流入額のランキングを参考にしてみよう。上位10本は全て海外の株式に投資をするものとなっている。特に米国の代表的な企業によって構成される株価指数「S&P500」に投資をするものと、世界全体の株式に投資するものが人気だ。はじめの一歩はこの2つのうちのどちらかを選んでみるとよいだろう。
さて、24年から新NISAを始めて2年目に突入する人たちからよく寄せられる質問は「成長投資枠」で個別銘柄を買ってみたい、というものだ。日本には4000弱の企業が上場しており、この中から投資先を選ぶのは至難の業だ。そこで、たとえば「時価総額5000億円以上」で「配当利回り5%以上」といった大型高配当銘柄をスクリーニングして、その中から投資対象を選んでみるのはどうだろうか。
24年は年間で2・5%ほど物価が上昇しており、仮に資産を全て銀行預金で保有していた場合、金利がほとんどつかないことから価値が約2・5%目減りしてしまう。仮に上記のような高配当銘柄に投資をしておけば、配当利回りでインフレ対策ができてしまう。当然、株価がそれ以上に下がれば損をするが、単に値上がり益だけを求めて銘柄選定するよりも、財務安定性があり、株主還元策に力を入れている大型株は検討に値するだろう。
■森永康平(もりなが こうへい) 経済アナリスト。1985年生まれ、運用会社や証券会社で日本の中小型株のアナリストや新興国市場のストラテジストを担当。金融教育ベンチャーのマネネを創業し、CEOを務める。アマチュアで格闘技の試合にも出場している。著書に父、森永卓郎氏との共著『親子ゼニ問答』(角川新書)など。