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日本選手団が帰国 団体球技〝力負け〟で「お家芸」の停滞…メダルラッシュも競技別に明暗くっきり ロス五輪への課題は

zakzak by夕刊フジ 2024年8月14日 11時27分

パリ五輪に出場した日本選手団の本隊が13日、成田空港に帰国し、約600人の人垣ができて大きな歓声に包まれた。海外開催では最多となる金メダル20個を獲得。メダル総数も前回東京五輪に次ぐ歴代2位の45個(銀12、銅13)と連日のメダルラッシュに沸いた大会だったが、一方で競技別に好不調が明暗くっきり分れた大会でもあった。大きな成果と課題を抱えて4年後のロサンゼルス大会に向けて新しい戦いがスタートする。 (久保武司)

ロスへの課題は

成田空港の電光掲示板に「おかえりなさい 感動をありがとう!」と表示が輝く中、文字通りの凱旋帰国となった。

選手団の中でも笑顔満載で帰国となったのはレスリング勢だ。女子の若きエースの藤波朱理(20)=日体大、男子グレコローマンスタイルで40年ぶりの日本人金メダリストとなった文田健一郎(28)=ミキハウス=を筆頭に1大会最多となる8個の金メダルを量産した。

セーリングで20年ぶりの表彰台に立った混合470級銀メダルの岡田奎樹(28)=トヨタ自動車東日本、吉岡美帆(33)=ベネッセ=組も拍手で迎えられた。

すでに帰国していた柔道男子66キロ級で五輪連覇を達成した阿部一二三(27)=パーク24、スケートボード女子ストリートで初出場優勝の吉沢恋(14)=ACT SB STORE=ら66人のメダリストが首相官邸を表敬訪問して岸田文雄首相と面会。首相から「果敢に挑戦し続けた。皆さんにいただいた感動に心から感謝申し上げる」とねぎらいを受けた。

大会前半はフェンシングが躍進し、過去最多5個のメダルを獲得。お家芸の体操も期待に応えた。歴史的快挙も目立ち、総合馬術団体では〝初老ジャパン〟が92年ぶりの銅メダルを獲得。陸上女子やり投げで初の金メダルとなった北口榛花(26)=JAL、近代五種では佐藤大宗(30)=自衛隊=が史上初の銀を獲得。飛び込みでも玉井陸斗(17)=JSS宝塚=が史上初となる銀メダルに輝いた。

残念ながら大躍進の選手団の中では取り残されるかたちとなったのが団体球技だった。金メダルを期待された男子バレーは、準々決勝のイタリア戦でテレビの平均世帯視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区、速報値)が23・1%という人気だったが調子が上がらなかった。ブラン監督(64)の退任が決まっている。

サッカー男女も、あと一歩目標のメダルに届かなかった。男子は23歳以上のオーバーエージ枠の招集に失敗した中で、チーム一丸となって強豪相手に見せ場をつくっただけに無念の敗退。女子も準々決勝(対米国)で最後は力負けとなった。

お家芸の水泳も結果を出せなかった。メダルは男子400メートル個人メドレーで松下知之(19)=東洋大=の銀のわずか1個。2000年以降では最少で個人種目の入賞も9人にとどまった。世代交代にも一気に拍車がかかりそうだ。

日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長(67)は昨年10月の頸椎(けいつい)損傷で療養が続いている。2019年就任の3期目で、任期は来年6月までとなっている。

日本勢の全体レベルの底上げが確実に進んでいることを証明したが、従来お家芸とされた種目の停滞を感じさせる大会でもあった。4年後のロサンゼルス大会へ向けて、ニッポンの挑戦は続く。

「当たり前じゃないっていうことを感じたい」

羽田空港には同日、卓球女子シングルスで銅、団体で銀メダルに輝いた早田ひな(24)=日本生命=らの卓球チームが到着。400人が出迎えた。

早田は大会中に左腕を痛めながらの奮闘。五輪を終えて「鹿児島の特攻資料館に行きたい。生きていること、そして自分が卓球がこうやって当たり前にできていることというのが、当たり前じゃないっていうことを感じたいんです」と話した。

男子で無冠に終わった張本智和(21)=智和企画=は「リベンジする最短の方法は練習しかない」と19日から練習を再開することを宣言。女子団体銀メダルに貢献した妹・美和(16)は、ロサンゼルス大会にむけて「お兄ちゃんと組みたい」と兄妹ダブルスによるメダル奪取を宣言していた。

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