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年金世代・予備軍「シニアの居場所」 「やれること」を「やりたいこと」に変える 小さくても何かをアウトプット、どうすれば「お金に変えられるか」を考えてみて

zakzak by夕刊フジ 2024年12月26日 11時0分

会社員生活が残り少なくなり、今後どうするのかを考えてみると、「やりたいことが見つからない」という壁にぶつかることがあります。まずは「やりたいこと」を探すところから始める人も多いのではないでしょうか。

今回ご紹介する青木日高さん(57)は名古屋市公認のポップアップ・アーティストとして、認定場所で歌や演奏を披露しています。さらに、自宅でギター教室を開き、個人の生徒に演奏を教えています。その一方で、「ISO」のコンサルタントや講師というビジネスの顔も持ち、やりたいことを自由にやれているミドルシニアに見えます。

しかし、青木さんは「そんなことはないですよ。個人事業主の仕事なので、明日全部なくなるかもしれないですし、不安も多いです」と苦笑いし、こう語ります。

「私は転職を数回した最後に、組織で働くのはもう無理だと悟りました。それでもマネジメントに関わる仕事にはやりがいもあったので、それをコアにして40代前半に独立したのです」

青木さんはもともと職人かたぎが強く、組織で働くのは向いていないと認識していたそうです。それをよく理解していた奥さんも独立をとめなかったと笑います。

「本来は慎重な性格なのですが…。でも、独立する前にお客さまになってくれそうな会社さんがあったので、『じゃあ、やっちまえ!』と決めました」

独立して10年以上継続している秘訣を聞くと、「好きなようにやっているように見えるかもしれませんが、一番大事なのは『お金をいただける相手は誰なのか?』をキチンと自覚することです」と即答が返ってきました。

それでも気持ちが沈むときもあったという青木さんの心の支えが、実は思い付きで始めたギター教室だそうです。

「独立するちょっと前に家を買っていたので『暇ならギター教室でもやったら?』と妻に言われちゃって(笑)」

ところが、始めてみると生徒に教えることが本当に楽しく、つらいときも心の支えになっているそうです。

そんな青木さんも間もなく還暦を迎えます。

「あまり関係ないですね。いくつになっても、ビジネスも音楽も続けたいですから」

やりたいことが見つからない人からすると、うらやましいことだと思います。

「『やりたいこと』を探すより『やれること』を再発見して、小さくても何かアウトプットするのがイチバンだと思っています」

会社での仕事や日々の生活の中に「やれること」が必ずあると青木さんは続けます。

「それを棚卸しして見直した後で、今度は『お金をいただける相手』の顔を思い浮かべて、どうすれば『アウトプットをお金に変えられるか』考えてみたら、どうでしょうか」

しかし、やろうと思ってもなかなかできません。

「例えば、机と椅子を『自分の居場所』に決めて、そこに座ったら必ずアウトプットを作ろう!と思えたなら、誰でも『やれること』を『やりたいこと』に変えられる気がします」

その居場所で昇華させれば後の結果はついてくる、と言うのです。

「やりたいことが見つかったら、後はロック風に〝やっちまえ!〟ですね (笑)」

■藤木俊明 副業評論家。自分のペースで働き、適正な報酬と社会とのつながりを得ることで心身の健康を目指す「複業」を推奨。著書に『複業のはじめ方』(同文舘出版)など。

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