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ぴいぷる 岡山天音、役によって雰囲気がガラリと変わる〝カメレオン俳優〟 モットーは「広い視野を持ち…ユーモアを持って過ごす」

zakzak by夕刊フジ 2024年7月11日 6時30分

役によって顔つきや雰囲気がガラリと変わるカメレオン俳優だ。

「同世代の俳優がたくさんいる中でその役を任せていただくので、『この人にしかやれない、その役になっている』と思ってもらえるようなお芝居をしていきたいです」

台本は繰り返し読み、たくさんのメモ書きをする真面目な性格。さらに毎日、家に帰ってからは芝居のことや心が動いたことを書くのが日課だ。

「日記に近いですね。『この瞬間、自分の中で何かが起こったな』ということや『この言葉、好きだったな』といったことを書いています」

感受性が豊か。自己と向き合う時間を持ちながら、1日、1日を咀嚼(そしゃく)して生きているのだ。

映画「キングダム 大将軍の帰還」出演

12日から公開される、山﨑賢人主演の映画「キングダム 大将軍の帰還」(佐藤信介監督)に出演する。

「誰もが子供の頃に少年漫画に憧れた瞬間があると思うのですが、その世界に立っていることに興奮を覚えました」

春秋戦国時代の中国を舞台に、天下の大将軍になるという夢を抱く少年・信(山﨑)と、中華統一を目指す嬴政(えいせい、吉沢亮)を壮大なスケールで描く同名人気漫画の実写化第4弾。

今作は前作「運命の炎」から続く隣国・趙(ちょう)との国の存亡をかけた総力戦「馬陽の戦い」のクライマックスが描かれる。

「アクションはもちろん、人間ドラマもクオリティーの高いものになっています。自分が出た作品ですけど、試写を見たら、お客さんのように入り込んでしまうくらいダイナミックで興奮しました」

信が率いる飛信隊のムードメーカー的存在の尾平(びへい)役を演じている。

「浮世離れしたキャラクターがたくさん出てくる中、尾平は現実を生きる僕らに近い視点で、戦場を目の当たりにしていくんです。〝名もなき市民〟という要素は、大事に演じました」

大迫力で心が熱くなる作品だ。

今は水を得た魚のように、俳優として本領を発揮しているが、学生の頃は、学校生活が苦手で休みがちだったという。

「自分の意思とは関係ないところで、自分の人生を縛られているところが苦手でした。コントロールされるのが好きではないんです。惰性で通うことができない性質だったので、しんどかったです」

レールの上を歩む環境やルーティンの生活が、極端に合わない性質なのだ。そんな苦悩していた中学生の時、一般公募のオーディションを受けて、「中学生日記 シリーズ・転校生(1)~少年は天の音を聴く~」(NHK)に主演することに。そこには学校にはない面白さがあった。

「芝居というものの不思議さ、つまり誰かの言葉を自分の言葉のように発することに、日常では味わえない衝撃を食らいました」

高校には進学せず、俳優の道へ。かなり勇気がいったことだろうと思いきや「こういう不思議で一般的ではない道のほうが、自分が生き残る活路になる気がした」と話した。「自分にとっては、学校やその先にある〝大人みたいなもの〟になることのほうが、ハードルが高かったので、せざるを得なかった」と。

無理に進学していたら彼自身がつぶれていた恐れもあるだろう。その代わり、長所を生かし、今の活躍がある。〝自分を生かせる環境〟を見つけることが大切なのだ。

自分を一個人として尊重してくれた母は、良き理解者だという。

「母は面白い人。借り物の何かではなく、自分の価値観がある人です」

彼の「常識にとらわれないものの見方」は母の影響なのだろう。

「常識は、法律みたいなルールではないから、自分の目で見て、吟味することが大事ですよね」

モットーは「できる限り広い視野を持ち、ユーモアを持って過ごすこと」だ。

「普通に生きていても、つらくなるきっかけはいくらでもあるので、主体性とユーモアを持って、いろんなトラップに対応していきたいです」

世の中に流されずに、俯瞰し、自分に正直でありながら、大人になった彼は、人として面白い!

■岡山天音(おかやま・あまね) 俳優。1994年6月17日生まれ、30歳。東京都出身。2009年、主演ドラマ「中学生日記 シリーズ・転校生(1)~少年は天の音を聴く~」で俳優デビュー。17年公開の「ポエトリーエンジェル」(飯塚俊光監督)で高崎映画祭の最優秀新進男優賞を、18年公開「愛の病」(吉田浩太監督)でASIAN FILM FESTIVAL最優秀男優賞を受賞した。出演映画「Cloud クラウド」(黒沢清監督)が9月27日、「十一人の賊軍」(白石和彌監督)が11月1日にそれぞれ公開予定。

ペン・加藤弓子 カメラ・寺河内美奈 レイアウト・河本亮

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