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中国漁解禁で尖閣緊迫、福建省から1万隻が出航 東シナ海の禁漁期間終了 海警局船の航行も常態化 「次の段階」の目的がある可能性も

zakzak by夕刊フジ 2024年8月17日 15時0分

沖縄県・尖閣諸島周辺海域が再び緊迫している。中国が尖閣や台湾海峡を含む東シナ海に設けた禁漁期間を16日に終了し、福建省から約1万隻もの漁船が出港したのだ。2016年の禁漁明けには、尖閣周辺に200~300隻の漁船が押し寄せた。尖閣周辺では16日も、中国海警局の艦船が20日連続で確認されており、海上保安庁は警戒を強めている。

福建省の石獅(せきし)市にある祥芝中心漁港では16日、中国国旗「五星紅旗」を掲げた漁船が爆竹を鳴らしながら次々と出港した。

中国当局が5月1日から東シナ海などで設けてきた禁漁期間が、この日の正午(日本時間午後1時)で終了となった。対象領域には、ハマダイなど高級魚が集まる好漁場で、クロマグロの産卵場でも知られる尖閣周辺も含まれる。かつては、中国漁船が集結したこともある。

ただ、中国当局は偶発的な事故などを懸念して、漁業関係者には敏感な海域には近づかないよう指示を徹底しているとみられている。海上保安庁によると、尖閣領海に侵入した中国漁船への警告は、21年の81隻から昨年は4隻に減少している。

出航前、40代漁師は「釣魚島(尖閣の中国名)に近づくと、船の航行記録で当局に見つかるため行かない」と話し、別の50代漁師は「行くとしても、少し時間をおいてからだ」と慎重だった。ただ、中にはこうした指示に従わない漁業関係者もいるとみられる。

一方、中国海警局の艦船による尖閣周辺への侵入は常態化している。

海上保安庁の第11管区海上保安本部(那覇)によると、領海外側にある接続水域では16日に海警局の船2隻の航行が確認され、どちらも機関砲のようなものを搭載していた。

ジャーナリストで日本沖縄政策研究フォーラムの仲村覚理事長は「中国側はかつて、自国の漁船が尖閣領海に侵入すると、それを保護する名目で中国海警局船を増やしていた。だが、尖閣周辺ではすでに、海警局船が常態的に航行している。今後、再び漁船が侵入してくる場合は、『尖閣について外交面で強い抗議に出る』とか、『海上保安庁の巡視船を尖閣海域から追い出す』など、次の段階の目的がある可能性も警戒しなければならない」と話した。

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