Infoseek 楽天

自民総裁選40代対決 「コバホーク」小林鷹之氏と小泉進次郞氏の〝カネと人脈〟 鈴木哲夫氏「両氏の国家観見えてこない点は心配」

zakzak by夕刊フジ 2024年8月25日 10時0分

自民党総裁選(9月12日告示、同27日投開票)では、石破茂元幹事長(67)が24日午前、地元・鳥取県八頭町の神社境内で、総裁選への立候補を表明。茂木敏充幹事長(68)も同日、出馬の意向を固めたと報じられた。岸田文雄政権で失墜した「政治への信頼」を取り戻すため、選挙戦では「古い自民党」からの脱却や刷新が焦点の一つになる。10人以上が出馬意欲を示す大乱戦のなか、小林鷹之前経済安保相(49)と、小泉進次郎元環境相(43)の「40代対決」が注目されている。天下獲りに不可欠な「カネ」と「人脈」に迫った。

小林氏 後ろ盾に甘利氏、課題は知名度

「後輩から大先輩まで志を共有できる多くの同僚と世代関係なく、総裁選に臨んでいきたいと思うし、当然勝ちに行く選挙だと思っている」

小林氏は20日、夕刊フジなどの取材にこう答えた。

この日、進次郎氏出馬の報が流れた。小林氏より年下の進次郎氏だが、当選回数は小林氏の4回に対し、進次郎氏は5回だ。

小林氏は「ライバルなんて僭越(せんえつ)な言葉を発することができないほどお世話になっているし、政治家としても大先輩なので、胸を借りるつもりでやりたい」と話す。

開成高、東大法学部、大蔵省(現財務省)、ハーバード大ケネディ行政大学院というエリートコースを歩んだ小林氏だが、19日の出馬会見では「千葉の普通のサラリーマン家庭で生まれ育った」「長年父が務めていた商社が金融危機のあおりを受けて倒産した。国の政策が一つ一つの家庭や、人生に大きな影響を及ぼす」と庶民派の姿勢も強調した。

会見には福田達夫、大塚拓、塩崎彰久、中曽根康隆各氏ら安倍派を中心に各派閥から若手・中堅議員24人が同席した。麻生派の甘利明元幹事長が後ろ盾とされる。

資金面では、小林氏の政治団体「鷹之政経フォーラム」の2022年の政治資金収支報告書によると、前年からの繰越金を含む収入総額は1億5317万8684円だった。政治資金パーティーは22年に「小林鷹之東京後援会『飛鷹会』朝食勉強会」「小林鷹之君と明日の日本を語る会」など5回開催している。

政治評論家の有馬晴海氏は「小林氏は手堅さもあり、支援議員も政治を理解する人が多い印象がある。だが、進次郎氏ほど沸き立つほどの人気に欠け、知名度も乏しい。甘利氏がバックにいるといわれるが麻生派の票は分散する可能性もある。約1カ月で勢いを拡大できるかが課題だ」と指摘する。

進次郎氏〝選挙の顔〟期待も年配議員は…

一方の進次郎氏はいわずと知れた政治家の家系で、フリーアナウンサーの滝川クリステル(46)との結婚は話題となった。

共同通信の8月17~19日の全国緊急電話世論調査では「次の自民党総裁にふさわしい人」について30代以下の若年層で29・6%でトップに躍り出た。後ろ盾は菅義偉前首相で、TBSが20日、支援議員が「すでに40人以上いる」との周辺議員の声を報じた。

「泉進会」の22年の政治資金収支報告書によると、前年からの繰越金を含む収入総額は2億7082万5070円で、小林氏の2倍近くだ。同年に「進進会」「小泉進次郎セミナー」「政経文化フォーラム」などの会合を計12回開催している。

有馬氏は進次郎氏について「次の選挙で勝つことを考える4回生以下の若手・中堅を中心に支持を相当数集めているようだ。菅氏のほか、父の純一郎氏を弟分とみる森喜朗元首相らの支持に加え、萩生田光一前政調会長の動きも注目され、安倍派から数十人程度の支持者が出る可能性もある。ただ、年配の議員は要職に登用してもらえるか不安は残るだろう」とみる。

鈴木哲夫氏「両氏の国家観見えてこない点は心配」

総裁選は367人の国会議員票と、党員・党友による地方票367票の計734票で争われる。1回目の投票で過半数に達する候補がいない場合、上位2人による決選投票が行われる。こちらは国会議員票367票に対し、地方票は各都道府県1票の計47票で得票を争うだけに、国会議員の動向が重みを増す。

ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「党員票は、次期衆院選を意識して進次郎氏に票が集まる可能性もある。いずれにしても決選投票となるだろうが、議員票は分散するので読みづらい。また、小林氏、進次郎氏は裏金問題の渦中で行動しなかったことと、国家観も十分に見えてこない点は心配だ」と語る。

世代間闘争も焦点だ。有馬氏は、現時点では、石破茂元幹事長(67)と進次郎氏が決選投票に進む可能性が高いとの見方を示す。

「年配の議員は勝ち馬に乗ることを考えるが、若返りが進んで自身のポストの目がなくなることを恐れるかもしれない。石破氏への支持が伸びる可能性も否定できない」と指摘した。

【自民党総裁選に出馬意欲を示している議員】

青山繁晴参院議員(72)

石破茂元幹事長(67)

加藤勝信元官房長官(68)

上川陽子外相(71)

小泉進次郎元環境相(43)

河野太郎デジタル相(61)

小林鷹之前経済安保相(49)

斎藤健経産相(65)

高市早苗経済安保相(63)

野田聖子元総務相(63)

林芳正官房長官(63)

茂木敏充幹事長(68)

自民党「ホープ」のプロフィル

小泉進次郎

生年月日 1981年4月14日(43歳)

出身地 神奈川県横須賀市

当選回数 衆院5回

学歴 関東学院六浦高、関東学院大経済学部、米コロンビア大大学院政治学部(修士)

主な経歴 米戦略国際問題研究所(CSIS)研究員、小泉純一郎衆院議員秘書

政界要職 環境相、党青年局長

家族 妻、一男一女

趣味 野球、サーフィン、映画、文楽、落語

座右の銘 有志有道

※敬称略。本人の公式サイトや報道を元に作成

小林鷹之

生年月日 1974年11月29日(49歳)

出身地 千葉県市川市

当選回数 衆院4回

学歴 開成高、東大法学部、米ハーバード大ケネディ行政大学院(修士)

主な経歴 財務省理財局、在米日本大使館一等書記官

政界要職 経済安全保障担当相

家族 妻、一女

趣味 御輿渡御(みこしとぎょ)、マラソン

座右の銘 有志有途

※敬称略。本人の公式サイトや報道を元に作成

この記事の関連ニュース