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ニュース裏表 安積明子 疑惑・トラブル続く首長2人 長崎・大石知事と兵庫・斎藤知事を推した政党、真実の究明に全力〝製造物責任〟をとるべき

zakzak by夕刊フジ 2024年7月17日 11時0分

日本維新の会と自民党が推し当選した首長のトラブルが紛糾している。一人は長崎県の大石賢吾知事。もう一人が兵庫県の斎藤元彦知事だ。

大石知事は2022年2月の知事選で541票という僅差で現職を下したが、選挙プランナーに支払った402万円の「オートコール」(自動音声応答通話)電話料金が公職選挙法違反(買収)だとして刑事告発された。

県議の政治団体からの286万円の借り入れが「迂回(うかい)献金」との疑惑も浮上し、大石知事は収支報告書を訂正した。さらに、後援会の外部監査を行った経営コンサルタントから「2000万円の架空貸し付け」や「655万円詐取」の指摘を受け、重ねて刑事告発されている。

こうした問題で、スイスで開かれるNPT(核拡散防止条約)の再検討会議準備委員会の参加見送りなど、知事業務は支障をきたしている。

一方、斎藤氏は21年7月の兵庫県知事選で初当選した。井戸敏三前知事の後継をめぐって自民党が分裂し、兵庫県進出を目指す大阪維新の会を巻き込む選挙戦に勝利した。斎藤氏は総務官僚当時、大阪府に出向して財政課長を担当しており、初の維新系知事として話題になった。

斎藤氏は就任後、副知事ら一部側近による「密室政治」との批判を浴びた。「パワハラ」「おねだり」といった不適切な行動が指摘され、今年3月には当時の西播磨県民局長が実名告発に踏み切った。

だが、この告発は内部通報制度に基づいて処理されず、知事側が指揮した内部調査は「パワハラはなかった」との判断を示した。元局長のパソコンは素早く押収され、停職の懲戒処分を受けた。

県議会では百条委員会の開催が決まったが、斎藤氏の最側近の片山安孝副知事は、自身の進退と引き換えに百条委の不開催を自民党側にもちかけた。さらに、元局長に「えげつない圧力」がかけられたと指摘する関係者もいる。

その元局長は今月7日、自らの命を絶った。片山氏は12日に会見を開いて辞意を表明し、「知事を支えられなかった」と号泣したが、かつての部下の元局長の死には、記者からの質問を受けて、初めて弔意を示した。

斎藤氏は辞職を拒否し「生まれ変わる」と宣言しているが、人間が簡単に変われるのか。そして当選以来、「政治とカネ」の疑惑が続けざまに飛び出している大石氏は、疑いを払拭できるのか。

政治は当選してからが肝心だ。この2人を推薦した政党は今こそ、真実の究明に全力を尽くし、〝製造物責任〟をとるべきではないか。 (政治ジャーナリスト・安積明子)

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