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わが社の「健康経営」 富士フイルムHD(2)がん健診の大切さをeラーニングで周知 事務所のすぐそばに診断施設、自社提供の医療機器を活用

zakzak by夕刊フジ 2024年7月3日 15時30分

いつまでも元気に働きたいが、加齢に伴いがんの発症リスクは上がる。早期発見・早期治療には「がん検診」が重要な役割を担う。その受診率を上げるため、健康保険組合が「健診センター」を設立して成果を上げているのが、富士フイルムホールディングスだ。従業員の家族にも好影響をもたらす施策があった。

【事務所すぐそばに健康診断施設】

自治体実施のがん検診は半数に届かないほど、受診率が低い(厚労省2022年「国民生活基礎調査」)。仕事を休んでわざわざ検査を受けるのは面倒という人もいるだろう。勤務先の補助費で人間ドックを受診する場合も自分で医療機関を探すなど、やはり手間がかかる。職場に医療機関が隣接していると、当然、受診しやすい。

富士フイルムグループ健康保険組合は、2014年、富士フイルム西麻布ビル1階に「富士フイルム西麻布内視鏡クリニック」を開院。22年には、「富士フイルムメディテラスよこはま」も新たに開設した。

「富士フイルムグループでは、従業員の定期健康診断やがん検診などのがん対策においても、自社で提供する医療機器を活用しています」とは、人事部健康推進グループ長の大脇悟氏。

なにしろ、同社は最先端のAI(人工知能)技術やICT(情報通信技術)を搭載した内視鏡システムをはじめ画像診断システムなど、ヘルスケア関連の製品を数多く手がける。健保組合、産業医、同社の健康推進グループがタッグを組めば、従業員専用の健康診断施設を作りやすい土壌があるともいえるだろう。

【家族や友人にもがん検診の知識を広める】

「当社はヘルスケアカンパニーとして、世の中の健康のためにお手伝いをする責務があります。がん対策についても、私たちがしっかりがん検診の重要性を呼び掛けることが大切だと考えています」(大脇氏)

単に「がん検診を受けましょう」といわれても、ピンと来ない人はいる。がん検診や再検査の重要性について知識を深めるため、同社は全従業員向けに「eラーニング」を実施している。

「解説するのは、富士フイルムグループの従業員を長年に渡り診てきた医師で、親しみがあり、『先生がそういうならば』と話す社員もいます。また、eラーニングでの学びを家族や友人に話すことで、がん検診の重要性への理解が広がることを期待しています」と、人事部健康推進グループシニアエキスパートの畑佐和子氏は話す。

「がん検診を受けよう」と考えて実行に移すことが、当然のことながら、早期発見・早期治療につながる。富士フイルムグループは、国内だけでなく、健康診断文化のない諸外国に健診センターを開設するビジネスも展開している。

「富士フイルムグループのパーパスである<地球上の笑顔の回数を増やしていく。>の実現に向けて、従業員が健康で意欲高く働ける環境つくりの取り組みを広めていきたいと思います」と大脇氏は語る。 (取材・安達純子) 【次回は、花王です】 =火曜日掲載

■富士フイルムホールディングス株式会社 ヘルスケア、エレクトロニクス、ビジネスイノベーション、イメージングに関わる製品・サービスの提供。グループ従業員数7万2254人(2024年3月31日時点)。1934年設立。経済産業省等の「健康経営銘柄」に4年連続、「健康経営優良法人(ホワイト500)」に8年連続で認定。

【健康経営】従業員の健康管理を経営的な視点で考え戦略的に実践すること。従業員の健康が生産性や企業価値の向上につながり、就活や転職先企業の指標にもなる。

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