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2024年秋・衆院選 激戦の和歌山2区 血と血で争う「紀州戦争」二階元幹事長の三男・伸康氏vs世耕前参院議員 知名度か父の威光か…保守分裂の一騎打ち

zakzak by夕刊フジ 2024年10月16日 11時31分

今回の衆院選で、最も注目される激戦区が和歌山2区(県北部の橋本市、県中の御坊市、県南部の田辺市や新宮市など)だ。旧二階派の派閥パーティー収入不記載事件の責任を取って引退した自民党の二階俊博元幹事長の三男、伸康氏(46)と、同事件を受けて自民党を離党した世耕弘成前参院議員(61)が無所属で出馬して激突する。事実上、「保守分裂の一騎打ち」で、血と血で争う「紀州戦争」となっている。

選挙区内の市議会議員が嘆く。

「小選挙区の『10増10減』に伴い、旧3区が吸収されて新2区となった。地元・御坊市をはじめ、旧3区で圧勝してきた二階元幹事長の引退を受け、伸康氏が自民党公認で出馬する。そこに県選出の参院議員である世耕氏がくら替え出馬してきた。世耕家の地元・新宮市も旧3区。これまで、和歌山では『衆院は二階俊博、参院は世耕弘成』と書く人が多かった。支持層が完全に重なる。今回の激突に頭を抱える人が多い」

どうして、こんな事態になったのか。

世耕氏は早稲田大学卒業後、NTTに入社した。祖父の弘一氏は近畿大学の初代総長で、衆院議員。叔父の政隆氏は元国家公安委員長で衆参議員を務めた。1998年、叔父の後を継いで参院議員となり、5期務めてきた。

この間、世耕氏は安倍晋三元首相の側近として経産相や官房副長官、自民党参院幹事長の要職を経験し、「安倍派5人衆」に数えられる実力者にのし上がった。和歌山県議の1人がいう。

「世耕さんは数年前から『ゆくゆくは総理を目指す』と公言してきた。しかし、自民党には『総理総裁は衆院議員から』という不文律がある。そのため、くら替えのチャンスをうかがっていたが、同じ選挙区には二階元幹事長がいた。今回、自民党離党と二階元幹事長の引退を逆手にとって出馬に踏み切った。自民党所属のままなら出馬ができたかどうか」

情勢はどうか。

参院は和歌山全県が選挙区なので、世耕氏の知名度は抜群だ。県北(紀北)の紀の川市には、世耕氏が理事長を務める近畿大学の和歌山キャンパスがある。県南(紀南)では、世耕一族の地元、新宮市中心に地盤を拡大する。

これに対し、伸康氏は知名度でやや劣勢だ。それをカバーするのは、和歌山のインフラ整備などで貢献してきた二階元幹事長の剛腕で、地元首長や土建関連、農業団体などが支援する。ただ、「父親の威光」だけで勝ち切れるかどうか。

自民党内には「党の公認候補に対抗して立候補することは反党行為」との指摘もあるが、世耕陣営では「圧勝で自民党復党だ」と強気の姿勢だ。

選挙結果がどうなっても、遺恨は続きそうだ。 (ジャーナリスト・田村建雄)

楠本文郎 70 共新

新古祐子 52 立新

▼二階伸康 46 自新

高橋秀彰 42 無新

△世耕弘成 61 無新

※△は「やや優勢」、▼は「やや劣勢」。夕刊フジが取材結果などをふまえ、独自に判定した。

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