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経営者目線 トランプ氏再選なら「円安」や「世界恐慌」 ワタミ森林クレジット事業拡大へ

zakzak by夕刊フジ 2024年8月21日 11時0分

私は、日銀の財務や政府の財政から見て、中長期では必ず「円安」になるとみている。それは、次の大統領が、ドナルド・トランプ氏になろうが、カマラ・ハリス氏になろうが変わらない。

しかし、トランプ氏には「リスク」を感じている。世界三大投資家のジム・ロジャーズさんとの共著『大暴落』の監修者である花輪陽子さんが1日の東洋経済オンラインの記事で、トランプ氏が、大統領に返り咲きした場合のジムさんの見解を紹介している。

トランプ氏の関税政策について、「多くの人々にとってマイナスになります」とし、「多くの経済問題は、関税率の上昇や保護主義によって引き起こされてきました。実際、20世紀の大恐慌の原因のひとつは関税でした」と指摘。「行きすぎた保護主義が世界恐慌を引き起こしたのです。もしまた同じようなことが起これば、アメリカの株式市場はもう手遅れになってしまうでしょう」と警告する。

ニッポン放送のラジオで先日対談した朝日新聞編集委員の原真人さんもトランプ氏が返り咲いた場合、「17年に大統領になったときを思い返すと為替は焦点の一つになって、いままでのような為替介入は日本はやりにくくなる」とみる。当時は米国、カナダや、メキシコが加盟する北米自由貿易協定(NAFTA)の交渉で、相手国が通貨安誘導を行っていると判断すれば関税引き上げなどの措置が焦点となった。原さんは「当時、日本にも同じことをいってくるのではないかと政府はおそれていたが、安倍晋三元首相とトランプ氏の個人的関係があった。日本も(たびたび)為替介入をしているので(今回は要求を)言ってくる可能性はある」とみる。

トランプ氏は、減税で人気取りの政策を実行するだろう。よって、インフレが進むから金利を上げるしかなく、円安ドル高になる可能性が高い。

さらにトランプ氏は大統領時代に気候変動に関する枠組み「パリ協定」を離脱するなど地球環境に積極的な姿勢を示していない。未来の地球よりも今の人気や経済を優先するだろう。

そうした中でも、ワタミは岩手県陸前高田市で森林を整備し、温室効果ガス削減の森林クレジットを販売する事業を拡大する。先日も現場を視察してきた。「企業の森」として、区画単位で法人に販売していく計画で、すでに申し込みがある。1ヘクタールで5トンのクレジットが生まれ、当面560ヘクタールでCO2のクレジット権を販売する。それぞれの企業の社員が、自分たちの森という意識を高めてもらう意味でも、体験型の付加価値をつけた。実際に森林整備に汗を流すことで学び感じるものがあると思う。

経営者でもあるトランプ氏の手法は徹底的な「損得」優先だ。しかし、経営は損得だけではなく善悪も重要だ。ワタミ40周年、応援される企業が長く続くと身を持って確信している。「今だけ、金だけ、自分だけ」その対極の思想を、世界のリーダーには期待したい。 (ワタミ代表取締役会長兼社長CEO)

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