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ニュース裏表 峯村健司 安倍昭恵さんが演出「石破・トランプ会談」のチャンス 異例の夕食会舞台裏、今でも「シンゾーに会いたい」とこぼすことも

zakzak by夕刊フジ 2024年12月21日 10時0分

ドナルド・トランプ次期米大統領は15日(日本時間16日)、南部フロリダ州にある自身の邸宅「マールアラーゴ」に、安倍晋三元首相の妻、昭恵さんを招いて夕食会を開いた。その晩、同席したメラニア夫人が自身のSNSに、3人の写真とともに次のような書き込みをした。

「昭恵夫人をマールアラーゴに再びお迎えできて光栄だった。私たちは亡くなられた安倍元首相をしのび、素晴らしいレガシー(政治的遺産)をたたえました」

各国首脳らから、トランプ氏への面会希望が殺到するなか、夕食会を設けることは極めて異例といえる。しかも当日はクリスマス休暇直前の日曜日である。米国人にとって家族や親しい友人だけで過ごす大切な日だ。

トランプ氏はなぜ、昭恵さんのために異例の夕食会を開いたのだろうか。翌16日、大統領選後初となる記者会見で、その経緯についてこう説明した。

「安倍夫人は妻のメラニアと非常に親しく、メラニアの本をとても気に入っていた。私は安倍元首相ととても親しかった。素晴らしい人物だった。夫人が夕食をともにできるか尋ねてきたので、シンゾーに敬意を表して受けた」

トランプ氏は生前の安倍氏と14回の対面の会談をした。電話会談を含めると50回を超え、最も親密な信頼関係を築いてきた。安倍氏は生前、トランプ氏との電話会談について、こう筆者に語ったことがある。

「最初のころは、外交や安全保障など仕事の会話が多かったが、次第にプライベートな話も相談されるようになった」

トランプ氏にとって、安倍氏は友人でもあり、よき相談相手だったことがうかがえる。安倍氏が暗殺されて以降も、その友情をしのぶことがあったようだ。政権移行チームの関係者が語る。

「今でも疲れたときや落ち込んだときには、『シンゾーに会いたい』とこぼすことがある。昭恵夫人のことも気遣っており、時折手紙のやりとりをしていたようだ」

こうした2人の友情が異例の夕食会に結び付いたのだ。トランプ氏は16日の記者会見では、石破茂首相との会談についてもやりとりがあった。

記者「石破首相と会談するのか」

トランプ氏「総理大臣とぜひ会いたい。会うだろう」

記者「大統領就任式前にも会うのか」

トランプ氏「彼らが望むならそうするだろう」

そのうえで、トランプ氏は昭恵さんを通じて、メラニア氏の自伝や記念品を石破首相に贈ったことも明らかにした。

石破首相は11月に南米を訪問した後、トランプ氏との会談を調整したが、「就任前に各国首脳とは正式会談をしない」と断られた経緯がある。今回の昭恵さんの夕食会によって、石破首相はトランプ氏との会談のチャンスが訪れたのだ。

トランプ氏が公約に掲げる関税強化から、台湾問題を含めた国際情勢まで、石破首相がトランプ氏と膝詰めの議論する内容は山積している。この機会を最大限活用して会談につなげることが求められている。 (キヤノングローバル戦略研究所主任研究員 峯村健司)

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