国内男子ゴルフ「日本シリーズJT杯」最終日(1日、東京よみうりCC=7002ヤード、パー70)
力強かった。金谷拓実(26)である。17番(パー5)、2オンさせた。10メートルのイーグルパットを沈めた瞬間、右手で2度もガッツポース。通算9アンダーで3位。優勝はS・ノリスに譲ったが、最終戦で逆転、初の賞金王に輝いた。
「今までで一番苦しい18ホール、長かった。広島から母も来ていたし、自分らしいプレーをする気持ちはありました」
母・美也子さんは乳がんを克服した。親孝行にもなった。
大会前、トップは平田憲聖(24)。金谷は約289万円の差を付けられ2位だったが、平田が17位に沈んで約195万円、3位の金谷は1000万円を獲得し、今季賞金額を1億1955万1222円。逆に約516万円差を付けた。
賞金王の特典は来季の欧州ツアー参戦切符である。3位までに与えられるが、1位はシーズンをほぼフル出場できる。欧州からは今年、久常涼(22)が最高峰の米ツアーに昇格、来年は星野陸也(28)が同じルートで米で戦う。「そういうチャンスが増えると思って1年間戦ってました」と海外志向が強い男には最高のプレゼントである。
表彰式を終えると空港に直行し、来年の米ツアー出場資格を得るための2次予選会(3日開幕、米カリフォルニア州)のために渡米した。「あくまでも高みを目指して」って。そりゃ、そうだ。
最高峰の米ツアー。技術もさることながら、賞金額が雲泥の差である。今季米ツアーの賞金ランキングトップのS・シェフラー(米)は約2923万ドル(約43億8450万円)。3位の松山英樹も1125万ドル(約16億9000万円)と超高額。143位のアドリアン・デュモンド・シャサール(ベルギー)が82万2656ドル(約1億2300万円)で、金谷クラスの賞金はシード権(125位)圏外。日米格差はやばいですね。
ちなみに2日にはJGTO(日本ゴルフツアー機構)の表彰式が都内で行われる。賞金王に加え年間ポイントランク、スタッツも平均ストローク(69・765)、パーキープ率(88・272%)など5部門1位を獲得している主役不在となる。何とも寂しいフィナーレ…?!。 (清水満)