アダルト系や性風俗を紹介するYouTubeチャンネルが相次いで凍結される事態が発生している。「誰でも視聴できるコンテンツにアダルト系の動画を載せるべきではない」という批判や、「表現の自由だ」との意見が飛び交うが、〝ついに規制の時代が来た〟というのが率直な感想だ。
筆者は夜の街をテーマに取材し、記事を書いている。性風俗に関するネタも扱うことがあり、生々しい表現は避けているつもりだが、近年は周囲でもアダルト系のライターが減少したと感じる。
筆者がライターを始めたきっかけはブログだった。12年前、海外の夜遊びをテーマにしたブログを運営していたところ、当時タイと日本で販売されていたナイトライフ情報誌から声がかかり、ライターとしてのキャリアがスタートした。
当時は現在ほど成人向け雑誌の規制が厳しくなく、海外の性風俗をテーマにした雑誌も複数存在していた。その分野で名をはせていたライターも少なくなかった。しかし、やがて情報は雑誌ではなくネットで入手する時代に移行。さらに、2019年には東京五輪を控え、コンビニでの成人向け雑誌の販売が次々に中止となる動きが広がって、アダルト系ライターの需要は一層減少した。
雑誌で執筆していたライターたちは、ウェブサイトへと仕事の場を移していったが、アクセス数を上げるためにはニュースサイトなどへの転載が不可欠だ。だが、大手ニュースサイトでもアダルト系の話題は禁止され、『性風俗』というワードの使用もできなくなるなど、筆者自身もさまざまな規制に直面してきた。
さて、かつて成人向け雑誌上で一世を風靡していたライターたちは、今どこにいるのだろうか。噂によると、現在でも細々と成人向け雑誌の記事を書きながら、アルバイトで生計を立てている者も多いという。しかし、中には社会性のある内容を書けず、単に下品な内容が「使い物にならない」として採用されないなどという話も聞く。
雑誌しかり、YouTubeしかり、『エロ』というコンテンツは見られやすい。サイトが規制され、記事の掲載や配信が難しくなっても、書いていたライターが他のコンテンツに転向するのはなかなかに困難ではあるが、それでも今後、アダルト系のコンテンツは徐々に淘汰(とうた)されていくのだろう。
日本は規制の進行がまだ遅い方だが、海外ではさらに厳しく制限されている。今後も夜をテーマに執筆を続けるためには世の流れに合わせていかなければならない…と、自分に言い聞かせてみる夏の終わりである。
■カワノアユミ 20代を歌舞伎町と海外夜遊びで過ごした元底辺キャバ嬢。現在は国内外の夜の街でニッチなネタから盛り場の変遷までを幅広く取材。著書に、アジア5カ国の日本人キャバクラで9カ月間潜入就職した『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)。X(旧Twitter):https://x.com/ayumikawano/