USLPGAツアーのTOTOジャパンクラシックをプレーオフで制した竹田麗央のバッグには、素振り用のバットが刺さっている。練習用具として市販されているからすでに愛用しているというゴルファーも少なくあるまい。
コース入りしてスタート前のドライビングレンジにいくと、竹田は、まず練習用のバットを取り出して、10回ほど素振りする。ビュンビュン振るのではない。
「ストレッチも兼ねて、ゆっくりと大きなアークを描くようにしています」と竹田は言う。「スイングが早くなりがちなので、本番に向けてリズム、タイミングを整えるというのが、この素振りの大切な目的です」
さらに意識しているポイントがあるという。それは「ゆっくりと切り返して、いきなりスピードアップさせるのではなく、フォロースルーに向けてスピードを上げていくようにすることです」
この素振り練習による効果は、実際のスイングでどんなところに現れるのだろうか。
①ドライバーのスイングでは、理想的とされるややアッパーな軌道でボールをとらえられるようになる。そのため高打ち出しのキャリーボールで飛距離が伸びる。②リストターンのタイミングが早まることなく、フェースアングルが正しく、長くキープされて方向性が安定する。③上半身が突っ込んでいかず、頭が残って両腕が伸びた大きなフォロースルーがとれる。④フィニッシュが決まる。
これらは実際の竹田のスイングを思い浮かべると、すべて合致するはずだ。②では、アイアンショットにもあてはまる。
JLPGAツアーでは無敵の強さを発揮して年間8勝を挙げた。シーズン終盤もまだ試合は続くが、はたしてどこまで大きくなってUSLPGAツアーに乗り込んでいくのだろうか。そしてUSLPGAツアーでの活躍は?
不慣れな生活環境に戸惑うこともあるだろう。慣れない芝生の違いも克服しなければならない。たくさんの課題を突き付けられても、それらをクリアし続けて、早い段階で日本にビッグニュースを届けてくれるに違いない。
■竹田麗央(たけだ・りお) 2003年4月2日生まれ、21歳。熊本県合志市出身。プロゴルファーの母哲子さんの影響で6歳からゴルフを始める。熊本国府高1年時に「九州ジュニア」優勝。21年のプロテストに合格し、23年に初シードを獲得。24年「KKT杯バンテリンレディス」で初優勝を果たし、翌週の「フジサンケイレディス」でも勝って、史上4人目の初優勝から2週連続V。「ソニー日本女子プロ選手権」「日本女子オープン」も制して国内メジャー2連覇など一気にツアー8勝。叔母は1993、94年賞金女王の平瀬真由美。166センチ。