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天野秀夫 中小型厳選株 東証グロース250指数も上値が重い展開  「アイキューブドシステムズ」は年末高候補 「3G停波」メリット享受の好業績株

zakzak by夕刊フジ 2024年11月28日 15時30分

8月の急落を見た後の日経平均は上限4万円、3万7500円近辺を下限とする往来相場が継続して、上値が重い展開が継続する中、ウクライナとロシアの地政学リスクの高まりが下振れ要因として警戒されます。

米国株式市場は、今週28日は感謝祭の祝日で休場、29日は現地時間13時までの短縮取引となり、週後半にかけては東京市場も出来高が減少することも予想されます。ただ、11月最終週から12月第1週にかけては、3月期決算企業の中間配当再投資が出るタイミングにあることが、相場の下支え要因として働く期待があります。引き続き、ボックス相場が想定されるなか、高まりを見せてきた個別材料株が物色の中心となりそうです。

日経平均と同様に東証グロース250指数も上値が重い展開ですが、プライム銘柄に手掛かり難の展開が強まれば、値動きの軽いグロース銘柄に投資家の関心がシフトしてくる期待が膨らみます。東証グロースの「アイキューブドシステムズ」(4495)が値幅取り候補となりそうです。

同社は、法人向けモバイル端末一元管理「CLOMO」サービスを主力事業に持ち、企業の営業活動やテレワーク、医療機関や学校など教育機関で求められるセキュリティーニーズに同社のサービスは対応。今年2月に政府情報システムの「セキュリティ評価制度」にも登録を果たしています。

注目点はフィーチャーフォン、いわゆる「ガラケー」が使えなくなる「3G」の停波です。3大メガキャリアのauやソフトバンクでは始まっていますが、最大キャリアのドコモは2026年3月末に期限を迎えます。特殊機能を搭載した新型ガラケーは当面の間は使えるもようですが、各キャリアはスマートフォンへの乗り換えを進めており、この動きが来年は本格化します。事業会社などでガラケーを使用しているところは意外と多く残っており、3G停波によるMDM(モバイルデバイス管理)ニーズを、アイキューブドシステムズは取り込み始めています。ドコモにOEM(相手先ブランドによる生産)供給を実施していることから、そのメリット享受が来年は加速するでしょう。

こうしたことから、今25年6月期連結業績は、売上高35億300万円(前期比18・8%増)、営業利益8億900万円(同17%増)、経常利益7億8600万円(同17・7%増)、当期利益5億3900万円(同16・5%増)で、当期利益は3期ぶりの最高益に肩を並べる水準を見込んでいます。11月13日発表の第1四半期(7月から9月)決算は前年同期比29・7%増収、54・1%営業増益の好スタートを切っています。さらに、今6月期末一括型の年間配当は現状32円計画で、株価1400円近辺での配当利回り2%超は、グロース株としては高水準です。株価指標に際立った割高感はなく、20年7月の新規上場直後の最高値9490円から下げ続けた株価は23年以降1500円ラインを挟んだ長期もちあいを継続中。3G停波という来年につながる切り口を持つ有望銘柄といえます。

■天野秀夫(あまの・ひでお) 日本大学法学部卒。1987年4月、日本証券新聞社に入社。記者、編集局長などを経て、代表取締役社長を12年近く務める。2017年4月、独立。証券・金融界、上場企業経営者とのパイプを生かし金融リテラシーへの貢献を目指す。

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