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日本の解き方 財務省と自民税調の〝悪だくみ〟減税圧縮・穴埋め増税 野党分断で予算修正阻止 足並み乱れた間隙狙い…特定野党に便宜も

zakzak by夕刊フジ 2024年12月18日 6時30分

自民、公明、国民民主3党の税制調査会幹部は17日、所得税が生じる「年収103万円の壁」の引き上げ幅を巡り、国会内で協議する。与党は13日の前回協議で「123万円」とする案を提示したが、「178万円」を求める国民民主党の案と開きが大きく、同党の古川元久税調会長は「協議の打ち切りも含め考えなければいけないという思いで協議に臨む」と述べた。自民党の宮沢洋一税調会長が「誠意を見せたつもりだ」と発言したこともSNSで批判を浴びた。元内閣参事官で嘉悦大教授の高橋洋一氏は、これまで税制を取り仕切ってきた財務省や自民党税調が巻き返しに出ているとみる。野党を分断し、予算の修正を最小限にとどめることで、減税幅を圧縮し、他の項目で増税を図ろうとしているというのだ。

「年収103万円の壁」の来年からの引き上げとガソリン税の暫定税率撤廃をめぐり、自民、公明、国民民主の3党幹事長が合意文書を交わした。

3党幹事長合意は«いわゆる「103万円の壁」について、国民民主党の主張する178万円を目指して、来年から引き上げる»«いわゆる「ガソリンの暫定税率」は、廃止する»«上記の各項目の具体的な実施方法等については、引き続き関係者間で誠実に協議を進める»と書かれた。補正予算の成立と引き換えに、政治判断が優先された。

ただし、当事者である自民党の森山裕幹事長は「1年で178万円への引き上げは困難」と言い、自民党の宮沢税調会長は、幹事長合意書について「釈然としない」と不快感を表している。また、公明党の赤羽一嘉税調会長は「合意の内容はかなり漠然としており、税制協議で冷静な議論をして知恵をひねり出さなければいけない」と言う。

一方、現時点で国民にとってベストである今国会での補正予算組み替えであれば、所得税減税の実施時期は今年度だ。税を納めるのはサラリーマンであれば年末調整、サラリーマンでなければ3月の確定申告なので、来年3月の確定申告に減税ができただろう。

いずれにしても、財務省にとって最悪な補正予算組み替えによる今年度からの所得税減税は避けられた。また来年度の税制改正で議論するわけで、次に財務省が考えるのは、実施時期をできるだけ遅らせ、引き上げ幅は75万円からできるだけ圧縮することだろう。

森山氏の発言から予想されることは、例えば来年は半分引き上げ、残りは再来年にするといった方法だ。これなら3党幹事長合意の範囲内だ。ガソリン税減税についても、段階的に廃止していくことがあり得る。

その一方、他の税目で増税をもくろんでいる。防衛増税では、来年度税制改正で順次行うことが政府内では決まっている。社会保険料増についても、来年度法改正で来年に行うことは厚労省内の既定路線だ。

ただし、これらの増税は、各種税法や社会保険法改正が必要であり、改正案は来年1月から開かれる通常国会に提出されるはずだ。衆院で野党多数の現状なら、それらを否決することができる。

問題はここからだ。そうした税法や社会保険法の改正は、予算関連法案であるので予算の修正が伴う。予算の修正の際、野党各党はできるだけ自分の政党の政策を実現させようとする。来年夏には参院選があるので、各党が差別化しようと足並みは乱れるだろう。とりわけ衆院選で国民民主党だけが脚光を浴びたので、他の野党は苦々しく思っている。

実はそこが財務省の狙い目だ。各野党の間隙を縫って予算修正させずに予算成立を図ったり、特定の野党に便宜を図り、予算修正を最小限にとどめ、各種増税を行ったりするだろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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