国連の女性差別撤廃委員会は29日、スイス・ジュネーブで、日本の皇室の皇位継承を男系男子に限る皇室典範の規定は、女性差別撤廃条約の理念と「相いれない」と指摘し、皇室典範の改正を勧告した。14日に同委員会の会合に出席し、皇位継承のあり方は「女性差別と批判されるものではない」と演説した「皇統を守る国民連合の会」会長の葛城奈海氏は、「最終的には主権国家として日本自身が毅然(きぜん)と決めることだ」と強調した。
同委員会では2016年以来8年ぶりとなる日本への対面審査が実施された。日本政府側は「皇位継承のあり方は歴史や伝統が背景にあり、国家の基本をなすものであるため、委員会がわが国の皇室典範について取り上げることは適切ではない」と説明していた。16年の審査時にも改正勧告を盛り込む最終見解案に日本側が強く抗議して、記述が削除されたが、今回はスペインの女性議長が「適切だ」と反論したという。
葛城氏は審査会前の14日に開かれた会合で「天皇は祭祀(さいし)王だ。ローマ教皇やイスラムの聖職者、チベットのダライ・ラマ法王はみな男性なのに、国連はこれを女性差別だとは言わない」「世界にはさまざまな民族や信仰があり、それぞれ尊重されるべきだ。内政干渉すべきではない」と演説した。
複数の委員から「国連は他の王室がある国にも言ってきたので、日本にも言っているだけ。聞く聞かないは当事国次第だ」と言われたという。
葛城氏は今回の勧告について「国連勧告というと日本では強く受け止められる傾向があるが、会合には日本から左派勢力も多数参加しており、ことさらに喧伝(けんでん)している側面もある。最終的には主権国家として日本自身が決めることで、毅然として『国家の基本』を崩さず継承していく姿勢を貫くべきだ」と語った。