シリア反体制派は8日、首都ダマスカスを掌握し、アサド政権は崩壊した。タス通信によると、アサド氏と家族はロシアへ亡命、モスクワに到着した。反体制派が11月下旬以来、攻勢をかけ、アサド氏の父の代から50年以上続いた独裁体制の幕を閉じた。
アサド政権は2011年以降、民主化デモを徹底弾圧し、反体制派との内戦に発展した。内戦の死者は40万人以上とされ、化学兵器を使用した疑いでも非難を浴びた。
ここにきて政権を支えたロシアはウクライナへの対応に追われ、イランやレバノンのヒズボラなど親イラン民兵組織もイスラエルとの戦闘に忙殺された。アサド政権への援護が手薄になった隙を反体制派が突いた形だ。
フランス外務省報道官は8日、「自国民への13年以上にわたる極めて暴力的な弾圧を経て政権が崩壊したことを歓迎する」との声明を出した。
ただ、攻勢を主導した過激派「シリア解放機構」は国際テロ組織アルカイダが前身で、米国や国連からテロ組織指定を受けている。
混乱に乗じて過激派組織「イスラム国」(IS)が活動を強める兆候があるとして8日、米空軍のB52戦略爆撃機やF15戦闘機、A10攻撃機が75以上の標的を空爆した。
シリア北東部には反体制派と距離を置くクルド人勢力の支配地域もある。一難去ってまた一難となりそうだ。