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徹底解説・第4弾 男性更年期 運動・漢方・ビタミンDで撃退 テストステロン値を上げるビタミンDや亜鉛、意識して接種を 順天堂大学大学院医学研究科・井手久満特任教授に聞く

zakzak by夕刊フジ 2024年7月13日 10時0分

つい最近も線状降水帯が列島を覆い、ゲリラ豪雨が続く日があった。こうした天候で太陽を浴びる機会が減ると、体内で作られるビタミンDが減少する。ビタミンDは骨を作るために欠かせず、不足すると骨粗鬆(そしょう)症につながり、転倒骨折のリスクが高くなる。加えて男性は、ビタミンDが減少するとテストステロン値が減少し、ED(勃起障害)も引き起こしやすいといわれる。

「男性更年期障害(LOH症候群)の予防では、ビタミンDが重要な栄養素のひとつになります。ビタミンDが不足している肥満者がビタミンDをとると、テストステロン値が有意に上昇したとの報告もあります」

こう話すのは、順天堂大学大学院医学研究科泌尿器科学デジタルセラピューティクス講座の井手久満特任教授。日本メンズヘルス医学会の理事などを務め、LOH症候群診療の手引き作成委員会の副委員長でもある。

「ビタミンDは、免疫機能を調節する働きもあるなど大切な栄養素ですが、日本人の多くはビタミンDが不足していると報告されています。意識してビタミンDをとりましょう」

土用の丑の日(今年は24日と8月5日)に限らず、夏にウナギのかば焼きはお勧めだ。ビタミンDがたっぷり含まれている。また、サケの切り身にも豊富。魚類やキノコ類に比較的多く含まれるので、日々の食事に取り入れよう。日光浴も重要だが、日中、屋内で仕事をしていると難しい。そんなときにはサプリメントを活用するのも一手だ。

「もうひとつ、男性更年期障害予防で重要なのは亜鉛です。テストステロンの合成に欠かせないミネラルで、不足するとテストステロン値の低下のほか、精液の減少などで男性不妊症にもつながります」

亜鉛は、皮膚や粘膜の健康維持、味覚の正常化、タンパク質や核酸の代謝などでも重要な役割を担う。男性更年期障害予防だけでなく、健康を維持するために不可欠な栄養素だ。

「亜鉛が不足すると免疫力が落ち、コロナやインフルエンザのような感染症にもかかりやすくなります。日本では、60歳以上の約7割は亜鉛不足といわれているので、亜鉛をとることも意識していただきたいと思います」

亜鉛を多く含む食材は、牡蠣などの魚介類、豚のレバーや赤身の牛肉など。赤身の肉に含まれるカルニチンも、動物実験でテストステロン値を上昇させたと報告されている。

「亜鉛やビタミンDを意識的に摂取すると同時に、運動習慣も維持しましょう。酷暑の夏でも休日はプールやエアコンの効いたジムなどへ出かけ、家でじっとしていないようにしましょう」

そう言われても、「気力がない」「調子が悪い」「眠れない」ときには、一度、メンズクリニックへ相談を。男性更年期障害を適切に改善するための処方があり、気力が充実した夏を送れるはずだ。 (取材・安達純子) =この項、おわり

■井手久満(いで・ひさみつ) 順天堂大学大学院医学研究科泌尿器科学デジタルセラピューティクス講座特任教授。医学博士。1991年宮崎大学医学部卒。カリフォルニア大学ロサンゼルス校ハワードヒューズ研究所、帝京大学医学部泌尿器科学准教授、獨協医科大学埼玉医療センター教授などを経て2023年から現職。

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