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日本の解き方 小林鷹之氏は「財政再建論者」なのか 自民総裁候補と財務省の関係〝距離〟があるのは青山繁晴氏と高市早苗氏だけ

zakzak by夕刊フジ 2024年8月29日 11時0分

自民党総裁選で、注目されるのは財務省との「距離」だ。各候補と財務省との距離を計る目安や言動を検討してみよう。

現在、立候補の意向を示しているのは、青山繁晴参院議員(72)、石破茂元幹事長(67)、加藤勝信元官房長官(68)、上川陽子外相(71)、小泉進次郎元環境相(43)、河野太郎デジタル相(61)、小林鷹之前経済安保相(49)、斎藤健経産相(65)、高市早苗経済安保相(63)、野田聖子元総務相(63)、林芳正官房長官(63)、茂木敏充幹事長(68)である。

これらから、推薦人20人を得て、9月12日の告示時点で残るのは6~8人程度だろう。それでも過去最多の立候補者数であり、派閥解消の効果であろう。

マスコミは今のところ、「新鮮味」という観点から報道するので、「若さ」を持つ人と「女性」が優勢になる。新鮮味によって自民党の刷新感を出すというものだ。ただし、内政の実行力がないと短命政権になりかねない。いくら大風呂敷を広げても、財務省から資金制約を指摘されると、実際に政策実行ができなくなるからだ。財務省の資金制約のロジックは強力であり、政治家でそれを突破できた人は少ない。

筆者は、たまたま小泉純一郎政権と安倍晋三政権、菅義偉政権に参画し、財務省の財政制約論議に加わったが、なかなか手ごわかった。小泉政権では「埋蔵金」、安倍政権ではそれを一般化した「統合政府論」で乗り切った。

政治家本人のスタンスも重要だ。小泉元首相は「財務族」といわれていたが、財政再建至上主義者ではなかった。安倍氏は回顧録を読めば分かるが、財務省との距離感を持っていた。それを引き継いだ菅氏も似ていて少なくとも再建主義者と積極論者の双方の意見を聞くというスタンスだった。

前記12人のうち、これまでの言動から、財務省と距離があるのは、青山氏と高市氏だけだ。

小林氏は財務省出身ながら、「財政より経済」と主張しているので、財政再建主義者ではないといわれるが、「財政より経済」というのは当たり前で、どんな政権でも同じだ。

筆者が注目するのは議員活動で、どのような議員連盟に属していたかだ。

財政については、若手(当選4回以下)で積極財政派なら、「責任ある積極財政を推進する議員連盟」(中村裕之共同代表、城内実顧問)に属していれば積極財政論者と思っていい。

財政再建論者は分かりにくい面もあるが、裏で財務省が音頭を取っているとされる「令和国民会議(令和臨調)」に所属している国会議員は、財政再建論者が多い。

小林氏は令和臨調参加議員であり、積極財政議連には度重なる勧誘を受けたが断ったと関係者が話しているので、基本的に財政再建論者であろう。これは財務省出身議員では驚くことでなく、与野党に関わらず普通である。

財務省との「距離」といっても敵対するわけではなく、ベッタリにならないという意味だが、言うは易く行うは難しだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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