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立民の政策こそ〝最大の経済オンチ〟物価目標「2%」→「0%超」公約 「デフレ脱却が危うくなる」「旧民主党政権を想起」と識者

zakzak by夕刊フジ 2024年10月9日 14時50分

元日銀審議委員の片岡剛士氏が解説

立憲民主党が衆院選に向けた公約で、「新しい金融政策」への転換として、日銀の物価安定目標を現在の「2%」から「0%超」に変更することを盛り込んだ。元日銀審議委員でPwCコンサルティングチーフエコノミストの片岡剛士氏は「デフレ脱却が危うくなる政策」と指摘する。

同党は物価目標の変更に加え、政府と日銀の共同目標として「実質賃金の上昇」を掲げるとした。

国民民主党の玉木雄一郎代表はXで«物価目標をゼロにするということは賃金上昇率もゼロにするということ»と投稿した。一方、立憲民主党の泉健太前代表は«「0%超」とは「0%近傍」という意味ではなく、「プラス領域」という意味»と説明した。

日銀審議委員として金融政策に携わった経験を持つ片岡氏は、物価目標の変更についてこう解説した。

「物価安定目標を『2%』から『0%超』に変更するという立憲民主党の主張には違和感を禁じ得ない。2%から0%超に変更することは、現在よりも低めの物価上昇率で良いというメッセージにつながり、デフレからの脱却が危うくなる。消費者物価指数の上方バイアスを考慮に入れれば、『0%を超えれば良い』という目標設定はデフレ容認にもつながるし、政策当局による早すぎる引き締め策を助長するリスクもある。更に、先進諸国が2%の物価目標にコミットしている現状を踏まえれば、わが国の物価安定目標が『0%超』となることは、円高という形で継続的に海外からデフレ圧力が加わることも意味する。1985年のプラザ合意以降、アベノミクスが始まる2012年末まで、わが国は為替レートの理論値である購買力平価を上回る円高を経験した。この間、インフレ率は低下して1990年代後半以降マイルドなデフレとなり、失業率は高まり、賃金が上がらない状況となった。立憲民主党は日本経済を再び長期停滞にしたいというのだろうか」

片岡氏はまた「立憲民主党は最低賃金を全国平均1054円(2024年度)から1500円へと引き上げるとのことだが、『0%超』の物価安定目標の下では賃金上昇率は現在よりも低くなることは必定である。最低賃金を1500円にどうやって引き上げるというのか。少なくとも現政権を上回るベースで引き上げる事は無理であろう」とも指摘している。

立憲民主党が掲げる金融政策の変更は、現状の物価高を意識したものとみられる。

だが、片岡氏は、現状の物価高は食料やエネルギー価格の上昇の影響が大きいとして、対策についてこう提言する。

「消費者物価指数の動きをみると、すべての品目を含んだ総合指数の伸びは前年比+3.0%だが、食料(酒類除く)及びエネルギーを除く総合指数の伸びは同+1.7%である。これは現在の物価上昇の多くが食料やエネルギー価格の上昇に起因することを意味する。現在の物価高で消費者が困るのは、食料品やエネルギーといった生活に密着した品物の価格が大きく上昇しているためだ。食料品やエネルギーの家計負担を下げるには、例えば食料品にかかる消費税の減税、ないしトリガー条項発動によるガソリン税の減税といった形で、これらの品目への減税策が有効であるし、所得税減税、社会保険料減免、物価高と連動していない控除額の拡大、といった方策を通じて家計の可処分所得を高めることも有効だ。物価高が問題だからと、物価を抑えるために引き締め政策を行えば景気は悪化し、消費者の暮らしは良くならない。立憲民主党が日本経済を再び長期停滞にしたいというのでなければ、過去の民主党政権を想起させるようなちぐはぐな経済政策を改めるべきである」

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