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ジャンボ尾崎 イン・ドリームランド 尾崎将司の長男・智春、原英莉花や笹生優花らアカデミー出身プロ生んだ「マネジメント力と才能を見出す力」

zakzak by夕刊フジ 2025年1月16日 6時30分

プロゴルフ界で一世を風靡した尾崎将司には3人の子どもがいる。その中で現在もゴルフに関わっているのは長男の智春(53)一人だけだ。

千葉日大第一高校時代から智春はゴルフに才能を発揮し、身長178センチ、80キロと父親譲りの恵まれた体格もあって300ヤードの豪打で鳴らし、いずれはプロとして活躍すると期待された。しかしプロテストに合格することができず、プロとしての道は断念せざるを得なかった。

だが智春には、プレーヤーではなく別の道で才能があった。それはマネジメント能力である。現在は「ジャンボ尾崎ゴルフアカデミー」を始め、父将司に関する業務の一切を取り仕切る有限会社「尾崎エンタープライズ」の代表取締役として多忙な業務にあたる立場にある。叔父にこれもトッププロとして名を馳せた健夫(71)、直道(68)=2人で47勝=がおり、子どもの頃からジャンボ軍団を見て育った環境も役立った。

この智春がいなかったら、原英莉花(25)、西郷真央(23)らアカデミー出身のプロも存在しなかったかもしれない。その象徴が全米女子オープン2勝の大偉業を成し遂げた笹生優花(23)である。

2019年の女子プロテストで智春は西郷の付き添いとして会場に出向いた。そこで同じく受験生の笹生のゴルフを目の当たりにした。この時は西郷も笹生も共に最下位での合格だった。

だが粗削りの笹生のゴルフに智春は閃きを感じた。そして初対面の笹生に自己紹介し、「もし良かったらうちの練習場(アカデミー)で練習したら」と声をかけた。フィリピンから日本に来たばかりの笹生には練習する環境がなかった。智春の好意を素直に受け取った笹生はすぐさまアカデミーを訪れて練習拠点とし、そして師匠となった尾崎のアドバイスのもとに、メキメキ腕を上げ、全米女子オープン2度制覇へと駆け上がっていった。

また智春は、原、西郷、佐久間朱莉、小林夢果、木戸愛らの要望もあってトーナメントでのキャディーも務めている。時にはコースマネジメントの重要性を説き、ミスで落ち込んだ時には活を入れ、ちょっとしたトークで緊張を解きほぐすなど、彼女たちにはかけがえのない存在だ。そしてそこから得たデータや各自の特性を尾崎に伝え、尾崎はそれを基に適宜な指導をした。

智春が最高の食材を選択し、それを日本一のシェフである尾崎が極上の料理に仕上げる。そんな関係ともいえるのだ。 (敬称略)

=ゴルフジャーナリスト・宮崎紘一

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