10月20日に放送されたNHKスペシャル「ジャニー喜多川〝アイドル帝国〟の実像」が尾を引いている。旧ジャニ勢の出演再開を決めたNHKの〝みそぎ〟にはならず、むしろ旧ジャニーズ事務所(現スマイルアップ)との消えない遺恨が再び頭をもたげそうなのだ。
元所属タレントの姉や元民放局の社員、週刊誌編集長らが顔出しで登場し、ジャニーズ事務所を〝帝国〟に築き上げた藤島メリー泰子氏とジャニー喜多川氏(ともに故人)の姉弟について証言した番組だ。
「放送のタイミングとしては、NHKが旧ジャニーズからスタート・エンターテイメント社に移ったタレントの起用を再開することになったのを受けて、性加害問題を総括する意味合いが強く受け取られるものでした。しかし、これでおしまいというわけにはいかないようです」と話すのは音楽関係者だ。
ひとつは、「ジャニーズ」元メンバーの中谷良氏(2021年に死去)の姉に対する対応だ。謝罪を求める女性に対し、補償本部長である男性のぞんざいな電話対応が物議を醸したのだ。
「すでに東山紀之社長もこの女性に謝罪していますが、確かに本部長の『暴露本で被害を受けた』というような発言は問題意識の低さをうかがわせました。結果的に、この本部長が解任されることになりました」とスポーツ紙記者は話す。
「さらに今回のNスペでは、局内のトイレでジャニー氏による性加害行為が行われたとする問題について触れることはありませんでした。これはNHKが被害者の証言を得て、これまで自ら報じてきたものです。この件をめぐって事態が悪化しています」とも話す。
発売中の「週刊文春」は、この証言をした人物に対して、スマイル社が補償債務が存在しないことを確認する訴訟を起こしたと報じている。
「要は、この人物の証言の信用性を問うてるわけです。当然、この人物の証言を報じてきたNHKについても、スマイル社が不信感を抱いていても不思議ではありません。この遺恨は消えそうにもありません」とスポーツ紙記者はみる。
もうすぐ紅白の出場者も発表される季節だ。今はスマイル社と、スタート社は別々の会社とはいえ、果たしてこの遺恨が何らかの影響を及ぼすことはあるのだろうか。