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「根拠のないプロパガンダ」が暴力を誘発か 中国深圳の日本人男児殺害、トランプ氏暗殺未遂、安倍元首相暗殺…憎しみ煽る「民主主義の敵」

zakzak by夕刊フジ 2024年9月30日 6時30分

大原浩氏が警鐘

中国広東省深圳の日本人学校に通う10歳の男子児童が殺害された事件をめぐっては、背景に中国の「反日教育」の存在が指摘されている。国際投資アナリストの大原浩氏は、ドナルド・トランプ米元大統領の暗殺未遂や安倍晋三元首相の暗殺事件についても「根拠のないプロパガンダによって暴力が誘発された」と指摘、「民主主義の敵」に警鐘を鳴らす。

深圳で10歳の男児が襲われ、亡くなった事件には、日本人の一人として怒りを禁じえない。中国共産党は、日本人の怒りを見て色々な懐柔策を繰り出しているようだが、事件は日中関係の大きな転機になると考える。

日本人の国民性については第二次世界大戦時の英宰相、ウィンストン・チャーチルが指摘している。「日本人は交渉の場において、こんなことは無理だろうと投げかけた難題にニコニコしながら『イエス』と答えてくれる。さらに難題を吹っかけても同じだ。ところが、ある時を境に態度が一変し、激怒した後、一切の譲歩をしなくなる」というものだ。

これは「誠実に対応していれば、いつかは相手も誠実に対応してくれる」と考える日本人の奥ゆかしさによるものだが、その忍耐にも限界がある。「我慢に我慢を重ねた後の日本人の『爆発力』」はすさまじい。

今回は、まさにその典型だ。日本政府および日本人は中国共産党の横暴に対して「我慢に我慢を重ねてきた」が、男児殺害事件が「堪忍袋の緒を切った」と言える。

事件は、これまでの中国共産党による、明確な根拠のない「反日プロパガンダ」の影響を大きく受けていることはだれの目にも明らかだ。日本を攻撃し続けてきた中国共産党は真摯(しんし)に反省すべきである。

同じように、明確な根拠がない「反トランプ」で情報弱者を洗脳してきたのが、主として米民主党と「御用メディア」である。

もっとも、ジョー・バイデン大統領やカマラ・ハリス副大統領の政治家としての能力の程度は、御用メディアがいくら隠蔽(いんぺい)しても、多くの米国民に知れ渡っている。

そうしたなかで引き起こされた大統領候補、トランプ氏に対する選挙期間中の2度の暗殺未遂が、情報弱者の憎しみを煽(あお)る「反トランプ・プロパガンダ」に大きく影響されていることは否定できない。

トランプ氏は、7月に銃撃された東部ペンシルベニア州の現場で10月5日に再び選挙集会を開くと明らかにしている。暴力で国家を支配しようとする反民主主義勢力に対する勇気ある挑戦だ。同時に11月5日の投票日までに3度目の「暗殺の試み」が行われないように祈る。

日本においても、安倍晋三という政治家が、プロパガンダに煽られた殺人犯によって命を奪われた穴は大きい。

「死ね」などという、殺人を煽るような言葉を使った人たちや、それらを肯定的に報道したメディアは、刑法上の「殺人教唆」に当たらないにしても「(言葉の)暴力で民主主義を破壊する罪」で断罪すべきである。

結局のところ、根拠のないプロパガンダで憎しみを煽り、暴力を誘発するという点で、「民主主義の敵」だと筆者は考える。

かつて、世の中の支持を失った過激な共産主義者たちが、テルアビブ空港乱射事件、あさま山荘事件など極悪非道な事件を起こし、民主主義に重大な脅威を与えた。

「追い込まれた人々」によって引き起こされる(言葉の)暴力によって「民主主義」が破壊されないよう心から祈る。

【おおはら・ひろし】人間経済科学研究所執行パートナーで国際投資アナリスト。仏クレディ・リヨネ銀行などで金融の現場に携わる。夕刊フジで「バフェットの次を行く投資術」(木曜掲載)を連載中。

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