今オフのフリーエージェント(FA)市場の目玉、阪神・大山悠輔内野手(29)の複数球団による争奪戦から、18日までに西武が撤退したことが本紙の取材で分かった。
西武・潮崎哲也スカウトディレクター(55)は18日、今オフのFA補強について「当初考えていたところはあったが、今のところ動きはありません」と言及。本紙既報通り、阪神から国内FA権を行使した大山が在京球団志望との情報を得て動向を注視してきたが、FA公示から1週間もたたずに機運がしぼんでしまった格好だ。
撤退を決めた理由を、球団フロント関係者は「条件が一気に急騰した。ほしい選手ではあるが、うちは異次元のマネーゲームには乗らない」と説明する。91敗の歴史的惨敗で最下位に沈んだ今季は350得点、チーム打率・212とも12球団ワーストと、DHのないセ・リーグ以下の貧打にあえぎ、補強ポイントを「打てる野手」と掲げて臨んだ今ストーブリーグでは、本命の大山に4年総額15億円規模の軍資金を用意。しかし、相手が悪かった。
巨人の獲得予算は5年総額20億円などと報じられているが、「契約年数、金額とも報道より上だと聞いている。特に年俸は倍額に近いのではないか」と同関係者。ライバル球団に4番を渡すわけにいかない阪神も、札束攻勢に応じる構えを示したことで条件は跳ね上がる一途だという。
総額40億円はまさに異次元。西武の球団内でも「そこまでの金額に見合った活躍ができる選手なのか」と疑問視する声が高まり、大山から手を引いて外国人などで戦力を整える方針を固めた。大山より安く、大山よりも打つ助っ人砲は見つかるか。 (山戸英州)