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日本の解き方 NHK中国語ニュースの問題発言 尖閣で起きていた「重大事案」と偶然の一致とは思えない…背景も含め徹底調査すべきだ

zakzak by夕刊フジ 2024年8月30日 6時30分

NHKのラジオ国際放送などの中国語ニュースで、中国籍のスタッフが、沖縄県石垣市の尖閣諸島について「中国領土」など、原稿にない発言をした。最大の問題点はどこにあるのか。NHKや政府はどう対応すべきだろうか。

この案件を時系列で整理してみよう。産経新聞によれば、NHKは19日、午後1時過ぎから短波ラジオなどの国際放送とラジオ第2放送で伝えた中国語のニュースの中で、外部スタッフが尖閣諸島について「中国の領土である」と述べるなど、ニュース原稿にはない不適切な発言を約20秒間にわたって行ったと発表した。このスタッフはNHKの関連団体が業務委託契約を結んでいる中国籍の40代男性だという。

この案件と同時並行的に尖閣では重要な事案が発生していた。40代のメキシコ人男性が16日午後、魚釣島の東岸にカヌーで上陸しているのを哨戒中の巡視船に発見され、ヘリコプターでつり上げられ救助された。

この男性は与那国島(同県与那国町)から台湾に向かっていたが、与那国島と台湾の間には尖閣方面に黒潮本流が流れており、それに乗って漂流したとみられる。

石垣海上保安部(同県石垣市)は19日、この男性を出入国管理法違反容疑で書類送検した。海上保安庁による救出と警察権の行使は、尖閣諸島を日本が有効に支配していること(実効支配)を国内外に示すことになった。

この尖閣に対する実効支配を示されて困るのは中国だ。うがった見方かもしれないが、筆者には、これらの2つの案件が単なる偶然の一致とは思えない。中国側が、漂流するメキシコ人に気が付いていたと思うのが自然であり、その後、日本の海上保安庁がその身柄の確保をしていたのも分かっていたのではないか。

NHKは中国籍スタッフとの契約を解除したというが、何らかの第三者の介在があったのかどうかも含めて背景その他を徹底的に調べるべきだろう。

なお、中国籍スタッフの行為は、偽計業務妨害罪にあたる可能性も否定できない。同罪は、偽計を用いること、他人の業務を妨害すること、故意があることが構成要件なので、今回のNHKの事案では該当するように思える。

特に、NHKの国際ニュースは普通の放送ではない。NHKの国際放送については、放送法で総務大臣がNHKに対して、放送事項や放送区域などを指定して国際放送を行うよう要請できる。2024年度において、総務省はNHKに対し、邦人の生命、身体および財産の保護にかかる事項や国の重要な政策にかかる事項などで報道と解説を行うように要請している。そのために、24年度に35億9000万円の交付金が国からNHKに対して支払われている。

警察や国会において、今回の事案の背景を含めてしっかり解明し、その上で責任者に対して適切な処分を行うべきである。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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