Infoseek 楽天

永田町が警戒!岸田首相「根拠なき自信」で〝ヤケクソ人事と解散〟か 溝が深まる麻生氏と茂木氏 「国民は総裁選シフト見抜く」識者

zakzak by夕刊フジ 2024年6月19日 15時11分

岸田文雄首相の就任後初となる国会の党首討論が19日、開かれる。自民党派閥の裏金事件や、後手に回った政治資金制度改革、場当たり的な政権運営を受け、国民の「政治不信」「岸田政権不信」は高まるばかりだ。立憲民主党の泉健太代表は党首討論で「衆院解散を迫りたい」と明言した。自民党は最近、衆院補選や地方選挙で支援候補が連敗しており、「岸田首相は事実上、解散カードの発動を封じられた」との見方も強い。ただ、四面楚歌(そか)ながら、根拠のない自信を持つ岸田首相が延命のため、「ヤケクソ人事」や「一か八か解散」で局面打開を図るとの警戒感も広がっている。

党首討論の開催は菅義偉政権下の2021年6月以来、3年ぶり。岸田首相と野党4党首が出席し、全体で45分間。持ち時間は泉氏が26分、日本維新の会の馬場伸幸代表が12分、共産党の田村智子委員長が4分、国民民主党の玉木雄一郎代表が3分となる。

過去には民主党の野田佳彦首相(当時)が「衆院解散」を表明した歴史的舞台となった経緯もあり、岸田首相の発言が注目される。

岸田首相は15日、G7(先進7カ国)首脳会議で訪れたイタリアで、衆院解散や人事の可能性を記者団に問われ、「政治改革をはじめ、先送りできない課題に全力で取り組んでいる。こうした仕事で結果を出すこと以外、今は考えていない」とかわした。

当然である。岸田政権の厳しい現状は、報道機関の世論調査で明確だ。

時事通信の最新世論調査(13日公表)で、内閣支持率は16・4%(前回比2・3ポイント減)に落ち込み、2012年12月の自民党政権奪還後、最低を更新した。朝日新聞の調査(15、16日実施)でも、内閣支持率は22%(同2ポイント減)と、岸田内閣発足以降の最低水準となった。

産経新聞・FNNの調査(同日実施)で、「岸田首相にいつまで続けてほしいか」を聞いたところ、「すぐに交代」と「9月の党総裁任期まで」が計81・5%に上った。

これでは選挙は勝てない。

4月の衆院3補選の全敗に加え、静岡知事選や、岸田首相の地元・広島県府中町長選、茂木敏充幹事長のお膝元・栃木県鹿沼市長選などで、自民党支援候補が次々と敗れている。

自民党ベテラン議員は「どう転んでも、わが党は選挙で『お灸』をすえられる。『下野のリスク』さえある情勢で、岸田首相による衆院解散は常識的にはあり得ない」と話す。

自民党中堅議員も「岸田政権は、レームダック(死に体)化が如実になっている」と語った。

これまで、主流派として政権を支えてきた麻生氏や茂木氏との溝も深まっている。

特に麻生氏は、岸田首相が根回しなく「派閥解消」を行ったことなどに不快感を募らせている。最近の講演では、他党に妥協を重ねた政治資金規正法改正案への姿勢も厳しく批判した。

岸田首相と麻生氏は18日夜、久しぶりに都内のホテルで会食したが、両氏の関係をどう見るか。

ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「麻生氏は、自民党総裁選での岸田支持を約束し、『敗北確実の解散・総選挙をさせない』ことが大命題だった。内閣改造・党役員人事はその代替案だったが、いよいよ決別しかねないほど心証を悪くしている」と語る。

首相の権力の源泉は「解散権」と「人事権」である。解散が困難ならば、人事での起死回生はあり得るのか。

鈴木氏は「最大の焦点は、世論調査で人気のある石破茂元幹事長だ。幹事長などの要職を提示するだろうが、政権に距離を置き、総理総裁を目指す『ライバル』の石破氏が受けるかは疑問だ。麻生氏や茂木氏の処遇も難しい。河野太郎デジタル担当相や高市早苗経済安保相ら総裁選の有力候補はすでに閣内に置いており、重ねての人事は『囲い込み』や『封じ込め』が浮き彫りになる。国民は『国家運営』のための人事ではなく、永田町の論理に基づく『総裁選シフト』であると見抜くだろう」と語る。

岸田首相は「聞く力」をアピールするが、国民はおろか、党内の意見にも耳を傾けない面がある。手詰まり感が漂っているが、妙な自信も持っているという。

鈴木氏は「岸田首相は総裁選再選に自信があるようだ。頭の片隅に『電撃的な解散・総選挙』のオプションもあるのではないか」と語っている。

この記事の関連ニュース