政府が22日の臨時閣議で決定した経済対策に、国民民主党が求める「年収103万円の壁」の引き上げが明記された。同党が掲げる「178万円」に引き上げられれば、手取り額の増加が期待できるが、与党内や地方自治体からは反対の声が相次ぎ、引き上げ幅を抑える圧力が強まっている。国民民主党の榛葉(しんば)賀津也幹事長は記者会見で、「これからが本番」と力を込めた。
政府の対策では「103万円の壁」について「2025年度税制改正の中で議論し引き上げる」とした。
国民民主党は1995年以降の最低賃金の上昇率に基づき、178万円への引き上げを要求している。その場合、年収300万円で年11万3000円、500万円で13万3000円の減税が見込まれる。
だが、7兆~8兆円の税収減になるとして、地方からは「事業がほとんど止まるくらいの話」(茨城県の大井川和彦知事)といった反対論もある。このため、所得税の基礎控除(48万円)を引き上げる一方、地方税である住民税の基礎控除(43万円)を引き上げ対象から除外する分離案も与党内で出ている。
引き上げ幅についても物価上昇率を参考にすべきだとの声も上がっており、「113万円」や「120万円台」などの案も浮上している。
榛葉氏は「3党合意はスタートラインに立ったということ。具体的にどこまでやるのか、これからの協議が大事で、これからが本番」と述べた。税制改正協議で「国民の皆さんの手取りが上がるように努力をしたい」と意気込みを見せた。