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ニュースの核心 「ケネディ暗殺」の〝機密解除〟トランプ大統領が公約「ディープ・ステート退治」に本格着手 安倍元首相の真相解明はいつ

zakzak by夕刊フジ 2025年1月24日 15時30分

ドナルド・トランプ米大統領は23日、1963年のジョン・F・ケネディ大統領暗殺に関する文書の機密指定を解除し、国民に公開する大統領令に署名した。大統領執務室での署名後、「多くの人が長年待ってきた。すべてを公開する」と記者団に語った。ジャーナリストの長谷川幸洋氏は、今回の機密指定解除と、トランプ氏が公約に掲げる「ディープ・ステート(影の国家)退治」との関係について考察した。日本では、安倍晋三元首相暗殺事件の真相はいつ明らかになるのか。

トランプ氏が機密指定解除の大統領令に署名したのは、63年の「ケネディ大統領暗殺」と、68年の「ロバート・F・ケネディ元司法長官暗殺」、同年の「マーチン・ルーサー・キング牧師暗殺」という3つの事件に関する文書だ。

ケネディ大統領の文書は15日以内に、元司法長官とキング牧師の文書は45日以内に公開計画を提出するよう関係省庁に命じた。

果たして、世界が注目する「事件の暗部」は明らかになるのだろうか。

これらの事件は、当時から中央情報局(CIA)の関与などがささやかれ、歴代大統領が公開を求めてきた。だが、CIAや連邦捜査局(FBI)などが「情報提供者の保護」などを理由に拒否してきた。

トランプ氏も第1期政権当時、公開を約束して、文書の一部が公開されたが、多くの文書は秘密のベールに包まれたままになっている。

今回、新たに機密が解除されれば、最大の焦点は「ケネディ大統領暗殺事件の通説を覆すような新事実が明らかになるかどうか」だ。

事件を調査したウォーレン委員会の報告書によれば、元海兵隊員、リー・ハーベイ・オズワルドの単独犯行とされ、オズワルドは逮捕の2日後、実業家のジャック・ルビーによって警察署内で殺害された。

だが、AP通信は「世の中を驚かすような新発見の証拠を求めている人々は、がっかりするだろう」という専門家の意見を報じている。「オズワルドの単独犯行説を、ひっくり返す展開にはならない」との見方だ。

私は事件の真相もさることながら、トランプ氏が機密指定の解除を求めた思惑に興味をそそられる。

トランプ氏はなぜ再び、この話を持ち出したのか。

それは、彼が公約に掲げている「ディープ・ステート退治」と関係があるように思える。

ディープ・ステートとは、司法省やCIAやFBI、国防総省、国務省、ホワイトハウスなどの政府機関や、経済界、シンクタンク、大学に巣食っている非公式なネットワークのことだ。

自分たちの既得権益を守るために、水面下で暗黙のうちに連携して動き、目的達成のためには、大統領の追い落としさえ厭(いと)わない。そういう勢力である。

トランプ氏は、ディープ・ステートを根絶するために、司法長官やFBI長官に強硬派を指名した。議会の承認はこれからだが、それまでに反対派を抑えて、目標を達成するには、CIAやFBIを黙らせる必要があるのだ。

そのために、世間の関心が高い暗殺事件の真相ファイルを公開して、世論を味方に付けようとしているのではないか。その結果、CIAなど情報機関に不都合な新事実が出てくれば、それで良し。仮に出てこなくても、自分自身は「情報公開に熱心な姿」を国民にアピールできるのだ。

大統領暗殺事件は62年も前の出来事だ。情報提供者を含めて関係者の多くは、すでに他界しているだろう。もはや公開による不都合は、ほとんどないと思われる。

改めて感じるのは、安倍元首相の暗殺事件だ。すでに事件から2年半が経過しているのに、いまだに初公判さえ開かれていない。これほど重要な事件なのに、異常事態と言わざるを得ない。司法関係者の猛省を求めたい。

長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務めた。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア―本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。ユーチューブで「長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル」配信中。

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