埼玉・ボートレース戸田でSG第71回ボートレースダービーの熱戦が展開中です。今回はダービーに出場中の選手でボートレース公式YouTubeボートレーサー対談『the Keys』に出演いただく茅原悠紀選手について書きます。茅原選手の地元・岡山県の日本三名園の1つ岡山後楽園で対談しましたが茅原選手。
対談を通して不思議な気持ちになりました。茅原選手は2006年デビュー、私は07年現役引退なので一緒に走ったことはないわけですが、なぜか一緒に厳しいグランプリやGⅠを戦った雰囲気にさせてくれ、懐かしささえ覚えました。礼節ある立ち居振る舞いでそう感じさせるのは彼の魅力の1つだと思います。
『the Keys』で対談したレーサーは3人目です。以前は野田昇吾選手、堀之内紀代子選手に目の前の課題を乗り越えた経験を語ってもらいました。茅原選手も今年約10年ぶりにSG制覇を果たすまで長く挑戦の日が続きました。果たしてどう克服したのか?
茅原選手といえば、14年に最高峰のSGグランプリを不利といわれる6コースから優勝したことで有名です。開催場の東京・ボートレース平和島は1マークのコース幅が狭いので6艇がいっせいにターンに入ると艇間隔の維持が難しい。その中で6コースからの差しハンドルは感動的でした。
茅原選手は戦略として少し5コースよりスタートタイミングを遅らせ、5コースが動くのと時間ロスなく動こうと考えたそうです。難しいチャレンジで同時に冷静な判断だったと思います。その結果、ハンドルもしっかり入り、持ち前のスピードを維持したままモンキーターンの威力を倍増させました。
ファンの皆さまを感動させたのはその素晴らしい走りだけではありません。茅原選手がグランプリ優勝の賞金1億円でスーパーカーのランボルギーニを買ったというニュースがさらにファンを驚かせました。理由はファンや他のレーサーに夢を与えたい、頑張ればこんなこともできると感じてほしかったからだそうです。実際これはいい刺激になったと思います。
そんな茅原選手にも勝てない時期があり、それを乗り越える日々がありました。そして今年7月のSG第29回オーシャンカップを9年7カ月ぶりに優勝。この時も伸び重視でモーターの取り付け角度を最大限のチルト1度にしてのチャレンジでした。常にチャレンジする姿勢こそ茅原選手の魅力だと思います。
詳しくは10月末ごろ配信される対談をぜひごらんください。
■植木通彦(うえき・みちひこ) 1968年4月26日福岡県生まれ。福岡県立博多青松高校卒。86年11月デビュー。2007年7月の引退までSG優勝10回を含む74回の優勝、公営競技初の年間獲得賞金2億円を達成したボートレース界のレジェンド。2018年、初代ボートレースアンバサダーに就任。テレビ『BOAT RACEプレミア』他、ネット放送、イベント、講演会で活躍中。『植木通彦オフィシャルブログ』(二次元コード)でも発信。