一発でアンチエイジング
〝美容整体〟の第一人者だが、現在は頭蓋骨の骨格矯正によって眼窩を広げることで、眼圧を下げて目の健康を向上させる「眼圧リセット」を提唱している。
と、いうことでその施術を体験してみることに。横になると、こめかみの辺りにひじを当てられて、身長183センチ、体重105キロという巨体を乗せて、ぐいぐいと押しこまれていく。頭の奥でキーンと音がするような強烈な痛みだが、これで縮こまっていた頭蓋骨が広がっているのだという。
2021年の「手のひらマッサージで目の不調がスッキリ整う 眼圧リセット」（飛鳥新社）の第2弾、自ら「眼圧リセットの進化版」という「眼圧リセットで緑内障を遠ざける方法を 一冊にまとめました。」（同）をこのほど上梓した。
「前著を出してから、緑内障などの目のトラブルを抱えた方たちが結構、私のサロンにやってきたんですよ。皆さん、病院にも通われていますが、誰もがそれだけでは不安なんです。何か自分でできることはないかと、私のところに駆け込んできた人が多いんですよ」
新著では、そうした人たちの不安を少しでも解消するための知見が盛り込まれている。
「今回は緑内障という病気がなぜ起きるのかというメカニズムから、どのような対策を取ることができるのか。そんな緑内障への見聞を広めたいと思い、誰にでも分かるような目の健康本にしようと心がけました」
前著でも、眼圧リセットするためのセルフケアの方法を記したが、「それでもやっぱり一人でするのは大変だという声が圧倒的に多かったので、よりチャレンジしやすい〝これだけやれば大丈夫〟というスキルを新しく考案しました」と話す。
そこで新しく考案した眼圧を緩める方法をひとつ伝授してもらった。頭を手のひらでしっかり挟んで、ぐっと圧をかけながら顔を引っ張りあげると、口を目いっぱい開いて10秒数えるというものだ。
「…8、9、10！ ほら口元の筋肉がゆるやかになるでしょう。これをすると、顔も若返るんですよ。筋肉は引っ張られて目も開く。これ一発でアンチエイジングです」
ストリップ劇場が縁で…
もともと大学まで柔道をやってきた。しかしトップレベルで長年戦う中で体は悲鳴を上げていた。自らの体をケアする思いもあって、サラリーマンをしながら趣味で整体を研究していた。
30代では東京・浅草のストリップ劇場、ロック座に出入りして、踊り子たちの体のケアをすることも。そこで、さらに人体や筋肉の構造を深く知ることになる。
「ロック座では、それぞれの出番に加えて、全員で踊るレビューもある。その練習なんて相当厳しいです。みなさん普通の方々よりは鍛えているので体は柔らかい。でも妖艶に足を広げているようでいて、心の中では相当無理しているんです。踊り子さんって、実はアスリートと同じぐらいハードなんです」
しかも、ストリップが縁でファッション誌に「美容整体」の連載を持つようになるのだから、人生は分からないもの。そこで「小顔矯正」といった施術を考案し、第一人者となっていく。
そこから現在に至るわけだが、「小顔矯正も、眼圧リセットも結局は頭蓋骨へのアプローチなので一緒なんです。美容への効果をうたうのか、健康への効果をうたうのかの違いですが、実は美容と健康はイコールなんです。鼻が高くなれば鼻通りがよくなるし、目が大きくなれば視力も変わり、ヒップアップをすれば腰痛は消える。全部リンクしているんですよ。美は健康の上に成り立っているんですから」。
そう、やはり最後はいかに健康でいるかということに尽きる。
「今回は緑内障に特化しましたが、今後は老眼にもアプローチしていきたいです。老眼って、年を取る中であらがえない病気といわれていますが、それは目の筋肉が衰えていくからでもあります。だから目の筋肉を鍛えることで改善できることもある。決してあきらめないでほしいですね」
■清水ろっかん（しみず・ろっかん） 骨格矯正士。1955年8月29日生まれ、69歳。明治大学に在籍中からさまざまな整体術を学ぶ中、「骨盤のゆがみと股関節の開き」に着目し、独特の骨格矯正技術「ろっかん式」を考案。さらに40年にわたって骨格矯正による美容メニューを生み出し、有名モデルやタレントの「小顔矯正」の駆け込み寺としても有名に。美容矯正の元祖〝ゴッドハンド〟といわれることも。2020年には東京・高円寺に「ろっかん塾」を開業。プロのセラピストに向けた「ろっかん式」の技術提供なども行っている。主な著書に「眼圧リセット」のほか「バンド1本で小顔になれる！」（フォレスト出版）など。
（ペン・福田哲士／カメラ・斉藤佳憲）