バレーボール男子準々決勝
【パリ(フランス)5日=山戸英州】バレーボール男子準々決勝で、日本はイタリアに2セットを先取しながら追いつかれ、フルセットの末に2―3で逆転負け。1972年ミュンヘン五輪の金メダル以来、52年ぶりの表彰台には届かなかった。チーム最多32得点を挙げながら「あと1点」が奪えず、石川祐希主将(28)=ペルージャ=は「僕が最後決められず申し訳ない」と責任を背負い込んで涙した。
1次リーグでは精彩を欠き、最後の米国戦では試合途中にフィリップ・ブラン監督(64)に交代を命じられるほど信頼を失ったエースは、周囲の奮闘でなんとか勝ち進んだ準々決勝の舞台で「ここからは負けたら終わり。やるしかない」と開き直って躍動。序盤から気合い十分に得点を重ねて信頼を取り戻したかに見えたが、決めればストレート勝ちのスパイクで痛恨のミスを犯した。
「手に当たっていたがちょっと長く、強く打ち過ぎた。コートに打つよりブロックタッチを狙ったが、力み過ぎた」。絶好機を逃すと形勢は逆転。第3セットを逆転で失うと、計4度のマッチポイントをものにできないまま3セット連続で接戦を落とした。
悔し過ぎる終戦にコート上で茫然のエースは、「みんなに感謝の気持ちと、僕が最後決められなくて申し訳ない気持ち。試合を決める1点が取り切れなかった…僕の力不足です。チームに申し訳ない」と謝罪を繰り返した。
前回東京大会も8強敗退で涙。この3年間は主将として自ら競技に取り組む姿勢を後輩に示し、チームを引っ張ることで「石川があれだけ献身的に動いたら、誰もが『俺たちも必死にやろう』となり、チームの統率が取れた」(関係者)
石川も「ネーションズリーグでもメダルを取り、今日もあと一歩、強いチームと互角に戦えるようになったのは間違いない」と強豪イタリアを相手に成長を実感。今回も阻まれた4強への壁を越えるには「点を取ることだけ。今日は僕が取れなかった。それが必要」と自らを叱咤しつつ、4年後のロサンゼルス五輪は「まだ全然考えていない」と語るにとどめた。
このチームとともに進化を続け、雪辱の舞台で「あと1点」を取り切る石川の姿が見たい。
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▽準々決勝
日本 2 25―20 25―23 25―27 24―26 15―17 3 イタリア