今回は皆さんと素晴らしいクリスマス映画を共有したいですな。
と言っても、映画好きの人からすれば超有名な古典的作品で、今さら? と思うかもしれません。しかし、夕刊フジの若い担当の方は「ウィル・スミスの映画ですか?」と言っていたくらいなので、今や知らない人が多いのでしょう。フランク・キャプラ監督1946年の作品「素晴らしき哉、人生!」です。
正直なところ、私、10代の頃、このタイトルからして好きではなかったのです。いかにもいい人さが出ていて、捻くれまくった私には「けっ!」と思って、知ってはいても長いこと見ずにいました。
それが、私の師匠志らくがこの映画を江戸時代に置き換えて落語化したのを聞いて、ビデオを借りて見て泣いてしまいました。そして、大師匠の談志も大好きな映画だったのです。あんなに〝反いい人〟の代名詞みたいな師匠が、黒澤明のヒューマニズムが嫌いだと言っていた家元・談志が、こういった映画を好んでいたのです。
今回、改めてU―NEXTで見たのですが、やっぱり泣いてしまいました。20代で見た時よりもさらにグッときてしまうのです。モノクロ映画で見た目は古いのですが、内容はちっとも古くない。ポッターという悪徳不動産屋はとにかくお金、儲け第一主義、対する住宅金融会社のジョージはどんな人にも自分の家に住んでもらえるようにと、人情でお金を支援する。この両者の対立構造は21世紀の今でも続いていて、むしろ激化していますから。
世の中人情では生きていけない。でもあったら素晴らしいし、あるんだよ、ということをユーモアを交えてみてくれます。ここ大事。所々でシャレが効いているのですよ。そして、守護天使として登場するヘンリー・トラヴァースという役者がいいの!
今年のクリスマスはこれよ! (立川志らべ)
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